ある調査で「人間の上司よりもAIロボットの上司が優れている」と考えるオフィスワーカーの存在が浮き彫りになった。その理由をひも解くと、従業員が上司に不満を募らせる理由が明らかになる。従業員の本音とは。
従業員は人間の上司ではなく、人工知能(AI)ロボットの上司と働くことを望んでいる可能性がある――。AI(人工知能)技術を使って社名や店舗名を生成するWebサイト「Business Name Generator」は2023年9月、調査レポート「AI in Business: How Can This Technology Improve Management?」を公開した。Business Name Generatorは、マーケティング企業Marketzoo International傘下の企業対企業(B2B)マーケティング企業Adventrumが運営している。
調査は2023年3月、Business Name Generatorの委託先である調査会社Censuswideが実施した。対象者は、英国企業のオフィスワーカー1005人、米国企業のオフィスワーカー1037人だ。
人間の上司とAI技術の上司を比較する設問では、全回答者の5人に1人が「現在の上司よりもAI技術の方が良い仕事をする」、3人に1人は「将来AI技術が管理職になると確信している」と回答した。上司に対して感じている最大の不満として「感謝を示さないこと」を挙げる回答者は、英国で14.0%、米国で14.3%だった。
AIの上司は「えこひいきしない」と答えた回答者は、英国で33.3%、米国で33.4%に上った。英国の30.5%、米国の28.2%の回答者は、「AIの上司はバイアスを反映させない公平な判断を下せる」と答えた。「AIの上司は差別しない」という質問には、英国の29.7%、米国の従業員の28.8%が同意した。
回答者の約5人に1人(約22%)は、「業務の不満を人間の上司よりもAIに話す方が気楽である」と答えている。この回答についてBusiness Name Generatorは、「人間関係では避けがたい、衝突や精神的苦痛を経験したくない」という回答者の気持ちを反映している可能性があると指摘する。この指摘を裏付けるかのように、回答者の約18%は「現在の上司よりもAI技術の上司を信頼する」と回答している。
米国の回答者が人間の上司に対して感じている不満としては以下が挙がった。
英国の回答者が人間の上司に対して感じる不満のトップ3は、1位の「感謝を示さない」(14.0%)に次いで、「従業員への共感が不足している」(12.4%)、「えこひいき」(12.2%)だった。
レポートによると「上司のせいで退職したことがある」と回答者の約37%が答えているという。人間の上司の管理能力の低さに耐えられないと感じる従業員が存在することを、レポートは指摘している。
現在AI技術は業務プロセスの短縮や意思決定プロセスの改善といった場面で価値を発揮している。Business Name GeneratorはAI技術が次に活躍する分野として、従業員管理を挙げる。
企業は採用した人材が定着するまでに、多くの時間とコストをかける必要がある。AI技術を従業員管理に導入することで、従業員のウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)を向上させられるだけでなく、採用以外の分野に時間とコストをかけられる可能性があると、Business Name Generatorはレポートに記している。
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