5Gではミリ波と呼ばれる周波数帯が割り当てられたが、通信事業者は使いこなすのに苦労している。この周波数帯利用の点を含めて、6Gにはどのような変更が加えられるのか。
無線は、利用する周波数が高いほど利用できる帯域幅が空いている傾向にあるため、通信速度を向上させやすい。しかし、周波数が高くなるほど障害物に弱くなる。そのため、どの周波数帯を利用するかは、「6G」(第6世代移動通信システム)でも重要なテーマだ。
周波数の分配は世界各国の政府や通信事業者が参加する「世界無線通信会議」(WRC)で決定する。2023年12月にドバイで開催したWRC-23では、6Gで使用する周波数帯についてどのような決定がなされたのか。
WRC-23では6Gが使用する周波数は確定せず、次回に向けた検討事項の一つとなった。フィンランドのオウル大学の研究プログラムである「6G Flagship」でディレクターを務めるマティ・ラトヴァ・アホ氏はWRC-23での合意内容を次のように分析する。
「通信業界は可能な限り全てを活用し、『5G』(第5世代移動体通信システム)に割り当てられている全ての周波数帯を6Gで使用する必要があると考えている。6Gは根本的に新しいものではなく、5Gの進化形であるべきだ」
5Gには、24GHz以上の周波数帯「ミリ波」が割り当てられている。ミリ波向けの技術がそのまま6Gでも活用できる可能性がある。
オウル大学の研究者たちは、「クラウドコンピューティング」と「エッジコンピューティング」を組み合わせ、基地局をいかにユーザーの端末に近づけるかについても研究している。ユーザーの端末と基地局の距離が近ければ、ミリ波のような比較的高い周波数帯であっても通信が安定しやすいからだ。
アホ氏は新世代の基本的なカバレッジ(通信可能エリア)は既存の5G周波数帯で提供され、6Gに再利用されると考えている。5Gの進化版と言われる「5G Advanced」(5.5G)と6Gの両方で、使用可能な周波数帯が拡大する可能性がある。6G通信のピーク容量を実現するには、175GHz帯以上の周波数帯を活用する必要があると考えられる。
しかし6Gには、大学の研究プログラムに影響を及ぼす、避けがたい要因が幾つかある。その一つが、6Gネットワークそのものだけでなく、産業分野に対する規制だ。研究チームは、エンジニアが望むことが全て実現できるとは限らないと知っている。例えば、自動運転に関しては既に非常に厳しい規則があるし、医療分野の動きは遅い。
第2回では医療と自動車の分野で、どのようなビジョンが策定されているのかを解説する。
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
拠点間接続にWANが重宝されてきたが、ビジネス環境の変化に伴い「SaaSが遅い」「セキュリティが不安」といった問題が顕在化してきた。そこで注目したいのがパワーアップした「SD-WAN2.0」だ。その特徴や導入時の注意点を解説していこう。
IoTという言葉は知っているものの、ビジネスの場でどのように活用すればよいのか分からないという声も多い。こうした声に応えるべく、IoTの基本的な概念から、IoTデバイスの選定・導入時に押さえておきたいポイントまでを解説する。
DXやIoTという言葉は知っているものの、それが何を意味し、ビジネスの現場にどのように採り入れられているのか分からないという声は意外と多い。そこで、DXとIoTについて、基本知識から実現方法まで詳しく解説する。
インターネットVPNサービスの市場規模は増加傾向にあるが、パフォーマンスやセキュリティなどの課題が顕在化している。VPNの利用状況などのデータを基にこれらの課題を考察し、次世代インターネットVPNサービスの利点と可能性を探る。
ネットワークに関して、「環境の構築・運用管理に手間やコストがかかる」などの課題を抱える企業は多い。そこで注目されているのが、1つのプラットフォームによる管理で運用負荷低減やトラブル対応効率化を実現するソリューションだ。
もし“キーマン”がいなくなったら? 属人化しないデータセンター運用の作り方 (2025/3/18)
多拠点ネットワークの苦悩「セキュリティ、運用負荷、コスト」をどう解消? (2025/2/20)
LANケーブルではもう限界 構内ネットワークに「光ネットワーク」という選択肢 (2025/1/14)
DX時代のIoTに起きている課題 スマホとエッジデバイスの新たな役割とは (2025/1/7)
脱VPNなんて一気には無理──忙しすぎる情シスの“起死回生の策”は? (2024/12/25)
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「AIエージェント」はデジタルマーケティングをどう高度化するのか
電通デジタルはAIを活用したマーケティングソリューションブランド「∞AI」の大型アップ...