HDDの容量増加を加速させる可能性のあるストレージ技術としてかねて注目を集めてきた「HAMR」採用のHDDを、Seagateが出荷すると発表した。HAMRはSSDとHDDの競争にどのような影響を与えるのか。
「SSD」の容量増加につながる技術進化が目立ち、「SSDはHDDの“安さ”に近づきつつある」という見方が強くなってきたのが近年の傾向だ。そうした中、HDDベンダーSeagate Technologyが、飛躍的な容量増大につながる可能性のある「熱アシスト磁気記録方式」(HAMR)を採用したHDDをついに発表した。HAMRを採用することでHDDはどこまで容量が増え、SSDとの競争にどのような影響を与えるのか。
Seagateは2024年1月、HDD「Exos」シリーズの容量30TBのHDDの出荷を開始する計画だと発表した。このHDDでは、データを格納する円盤であるプラッタ(磁気ディスク)当たりの容量が3TBとなる。容量を増やす技術として、熱を利用してデータ書き込みの信頼性を高めるHAMRが使われている。今後はプラッタ当たりの容量を4TBまたは5TBに増やすことも可能だと同社は説明する。
HDDがこうした新技術を搭載して進化する中で、SSDとHDDの双方の優位性にはどのような影響があるのか。HDDは搭載する部品が複雑になることで、コスト増になる懸念がある。HAMRのようにデータの書き込みに熱を使用する技術を採用すると、追加の冷却システムが必要になり、コストが増加する可能性がある。
ストレージ市場でHDDと競合する一部のSSDベンダーは、SSDはコストでHDDと勝負できるとみている。着目すべきコストの一つになるのが、消費電力量や、冷却に必要なコストだ。SSDベンダーは、HDDが新技術を搭載して部品が複雑になる結果としてコスト増になる可能性があることを、競争上の重要な変化として見逃さないだろう。
とはいえ、容量当たりのコストで比較すると、総じてHDDはSDDよりも依然として安い。Webサイト「Disk Prices」が、通販サイト「Amazon.com」で取り扱いのあるストレージ製品の価格を集計している情報を基にComputer Weeklyが独自に分析した結果では、2023年末の時点でSSDはHDDよりも1GB当たり25〜50%ほど高かった。
こうした比較は、HDDやSSD全体の平均を取ったものだ。Seagateの容量30TBのHDDは、コンシューマー向けではなく大規模データセンター向けのHDDだ。Seagateはデータセンターに対してまとめて販売することで総コストを低く抑えることを狙っていると考えられる。
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