エッジ、IoTでもAI活用が進む
Armの新プロセッサ「Ethos-U85」の進化とは? エッジAI向けの新世代NPU
AI関連のタスク処理に特化したプロセッサのNPUは近年、選定において処理能力だけでなくいかにソフトウェア開発者が扱いやすいかが重要となっている。Armの新たなNPUもこうしたトレンドを押さえている。
IoT(モノのインターネット)デバイスや組み込み機器などのエッジデバイスで人工知能(AI)技術を活用する「エッジAI」の利用が広がっている。
その一方で、企業が利用するエッジAIアプリケーションが増えるにつれて企業が利用するシステムは拡大するため、開発が複雑化する。ソフトウェア開発者は効率的に開発するためのフレームワークやライブラリ(プログラム部品群)を求めている。
半導体事業者のArmは、こうした状況に着目し、エッジAI向けの第3世代NPU(Neural network Processing Unit)である「Ethos-U85」を2024年4月に発表した。旧世代から何が変わったのか。
NPU新世代「Ethos-U85」の進化とは?
Armの発表によれば、Ethos-U85はエッジAIや、産業用IoT機器向けに設計されたNPUだ。旧世代の「Ethos-U55」および「Ethos-U65」と比較して電力効率は20%向上。タスクの処理速度も4倍に向上している。AIアプリケーションの処理に必要な積和演算器の規模(MACs)用のユニット数は128個から2048個まで拡張可能で、最大で4TOPS(Trillions of Operations Per Second)を実現した。
Armは、「Ethos-U85は一貫性のあるツールチェーンを提供する」と説明している。どういうことなのか。
具体的には、前世代までと同様に、機械学習モデルの「TensorFlow Lite」を利用できる他、新たな機械学習モデルとして「Transformer」をEthos-U85で利用可能になった。これらのモデルは再学習やクラウドサービスを経由するといった手間を介さずに、Ethos-U85を搭載したデバイス上で実行可能だ。
Transformerを実行可能になったことで、動画や画像関連のタスクが効率的に処理できるようになったため、画像の分類や物体検出をするための複数カメラからのデータの解析といったタスクが可能になるとArmは述べている。
深層学習モデルの「CNN」(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)や「RNN」(Recurrent Neural Network:回帰型ニューラルネットワーク)もEthos-U85で利用できる。
ArmはEthos-U85の発表と同時に、IoTアプリケーションを開発するための開発ツール群「Corstone-320」を発表した。Corstone-320ではファームウェア、サンプルコード、ドキュメントなどが利用できる。ArmはCorstone-320を使用することで、エッジAIアプリケーションの開発期間を短縮できると主張している。
既に半導体ベンダーのAlif Semiconductorと半導体ベンダーInfineon Technologiesの2社がEthos-U85の採用を発表している。
Alif Semiconductorの共同創設者で社長のレザ・カゼロニアン氏は次のように語る。「当社が次世代エッジAIアプリケーションや映像システムで実現したいユースケースには、処理速度と電力効率が求められる。Ethos-U85を使うことで、当社のマイクロコントローラー製品群『Ensemble』が求める処理速度と電力効率が実現する」
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