サーバ仮想化はサーバ統合の方法の一つだ。サーバ仮想化とアプリケーションの移行を成功させるには、どのように計画を立てればよいのか。
サーバ統合はサーバの利用効率を高めて、運用負荷の軽減やコストの削減を図ることを指す。サーバ統合の方法の一つとして、サーバ仮想化が挙げられる。サーバ仮想化は物理サーバで複数の仮想マシン(VM)を実行できるようにする手法だ。その結果としてサーバの集約が可能になる。本稿は、サーバ仮想化やアプリケーション移行を計画するときの4つのポイントを説明する。
1つ目の検討事項は、ホスト(物理サーバ)のリソース量だ。管理者は、必要なVMの個数を見積もり、各VMをホストするために必要な物理サーバの数を計算する必要がある。アプリケーションによって必要なVMのリソース量は異なる。アプリケーションの要件に基づいて、あるVMのリソース量は他のVMよりも大きくなる可能性がある。ホストがVMに必要なリソース量を提供できるかどうかを確認する必要がある。
インフラを設計する際は、将来必要になるリソース量を十分に備えているかどうかも重要だ。将来新しいアプリケーションの需要が発生した場合や、VMに障害が発生した場合の備えになる。VMをフェイルオーバー(待機系への切り替え)できるよう、実行中のアプリケーションに加え、他のホストの障害発生時に移行してきたアプリケーションを処理するのに十分なリソース量を備えたホストが必要だ。
2つ目の検討事項は、Microsoftのハイパーバイザー「Hyper-V」やBroadcomの「VMware ESXi」などを含めて、どのハイパーバイザーを使うかを決めることだ。何台のホストをクラスタ化(VMのリソースとして協調動作させること)するのかを検討する必要もある。
クラウドサービスでVMを利用することもできる。クラウドベンダーは、VMをマネージドサービスとして提供している。クラウドベンダーは、ユーザー企業に代わってホストの管理やアップデート作業を代行する。ユーザー企業はハードウェア管理の必要がなくなるため、VMの管理に集中できる。VMはクラウドベンダーのデータセンターで稼働するので、自社データセンターの電力を消費しない。
クラウドサービスにもデメリットはある。1つ目のデメリットは、クラウドサービスではVMを完全に制御できないことだ。VMの細かい制御が必要な場合や、クラウドサービスではVMの要件を満たせない場合は、オンプレミスサーバを選ぶ必要がある。2つ目のデメリットは、用途によってはクラウドサービスの方がオンプレミスサーバでVMをホストするよりもコストが高くつくことだ。ただし逆のケースもある。
サーバ統合プロジェクトに必要なコストに注意を払う必要がある。ハイパーバイザーのライセンスだけでなく、VMの管理・監視ツールや容量管理ツールが必要な場合がある。選択した仮想化製品やサービスによっては、サポートサービスの契約が必要になる場合もある。
最後にアプリケーションをVMに移行する方法を検討する必要がある。アプリケーションごとに差異はあるが、基本的にはサービスの中断を避ける必要がある。
サーバ統合の手法は、サーバ統合の方法や実行するアプリケーションによって異なる。オンプレミスインフラで統合するのか、またはクラウドサービスに移行するのかによっても異なる。
サーバ統合で主に使われるツールは、クラウドサービスとオンプレミスインフラを統合的に運用できるツールと、災害復旧(DR)のためのツールだ。クラウドベンダーは、オンプレミスインフラで実行中のアプリケーションをクラウドサービスに移行するための運用ツールを提供している。VMのプロビジョニング(配備)を自動化するデータベース移行ツールやアプリケーション変換ツールを提供するベンダーもある。
DRツールは、物理サーバのアプリケーションをバックアップし、移行先の物理サーバもしくはVMにバックアップデータをリストア(復旧)する。DRツールで移行先のサーバにアプリケーションのフェイルオーバーを実行することで、ダウンタイムなしで移行できる場合もある。
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