大企業からスタートアップ企業への転職を検討するなら、それぞれの違いについて適切に理解すべきだ。「こんなはずじゃなかった」と後悔しがちな4つの理由とは。
「スタートアップ(先進的なアイデアで急成長する企業)で働く」という選択肢は、特に大企業で働き、既存業務の維持に携わるエンジニアにとって魅力的に映ることがある。スタートアップでは、新しい技術やサービスの開発に携われる機会が豊富にあるからだ。
一方で、スタートアップの社内文化は大企業とは大きく異なる。入社してから「こんなはずじゃなかった」と後悔することも考えられるため、自分に合った職場かどうかを慎重に判断するのが賢明だ。スタートアップへの転職を検討するなら事前に確認したい、4つのポイントを解説する。
スタートアップで働くエンジニアは、大きな裁量権を持ち、会社を形づくることができる。ワークフロー自動化ツールベンダーPrefect Technologiesでエンジニアリングマネジャーを務めるジェニー・グレンジ氏は、「起業家精神のある人にはやりがいがある職場だ」と話す。
米国で技術専門家のキャリアコーチとして活動するカイル・エリオット氏は、「スタートアップ企業で働くということは、会社づくりに加わるということだ。物事を一からつくるのが好きな人、システムの導入や実装が好きなエンジニアは、スタートアップで活躍できる素質がある」と話す。
スタートアップが自身に適しているかどうかを把握するために、以下の質問を自分に投げ掛けてみよう。
創業から数年しかたっていないスタートアップでも、創設からの歴史がある。離職が自発的なものかどうか、離職する従業員に対する企業側の扱いはどうなっているかを見ることで、その企業が従業員をどう捉えているのかが分かるだろう。
「近年の景気低迷の影響で、エンジニアはレイオフ対象にされやすくなっている。企業がレイオフを実施したことがあるか、どう実施したかについて確認すべきだ」とエリオット氏は指摘する。
他にもエリオット氏は、従業員の継続勤務期間や、キャリアの軌跡についても調べるように推奨している。
給与交渉に入る前に、必要な収入額と期待する福利厚生を決めておくことが重要だ。「要求」「希望」「譲れない要件」の3つのカテゴリーに分類するようエリオット氏は勧めている。
「絶対に必要な条件と、あればうれしい条件を明確化し、どこまで妥協できるかを考えた上で要求を決めるべきだ」(エリオット氏)
雇用形態によっては、社会保健への加入要件を満たさないこともあるため、その分のコストを考慮した方がいいとエリオット氏はアドバイスする。
スタートアップの中には、企業が従業員に対して自社株購入の権利を与える「ストックオプション制度」を提供しているところがある。
ストックオプションとは、あらかじめ決めた価格(権利行使価格)で株式を購入できる仕組みだ。この仕組みを使えば、購入時に株式の価格が上がっていても安く買えることになる。反対に売却時は、株式の価格が上がっていても払う税金は少なくて済む。
非上場企業の株式である、未公開株式(プライベートエクイティー)のリスクについても考慮すべきだ。「未公開企業の株式は公開取引されていないため、その株式の実際の価値を把握するのは困難だ」とエリオット氏は指摘する。売却の手続きがより複雑で時間がかかる場合もあるという。
もちろん、株式は企業への就職を考える際の一要素でしかない。エンジニアは基本給や、退職金制度などを含めた総合的な報酬について交渉すべきだ。
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