仕事が楽しくなる「DevOpsの6つのメリット」とは何か?DevOpsの認定資格とトレーニングコース11選【第1回】

DevOpsの価値は開発プロセスの効率化だけでなく、開発者の仕事を楽しくすることにある。DevOpsスキルを身に付けることで、開発者にもたらされるメリットを解説する。

2024年07月29日 08時00分 公開
[Andy PatrizioTechTarget]

関連キーワード

DevOps | 開発ツール | 開発プロセス


 エンジニアはDevOps(開発と運用の融合)のスキルを磨くことで、職場における自らの価値を高めるだけでなく、仕事をより楽しめるようになる。それはなぜなのか。DevOpsの学習および実践が、企業やエンジニアにもたらすメリットを、その基本的な知識と併せて解説する。

仕事を楽しむために「DevOpsスキル」を磨くべし

 DevOpsは、特定のツールや手法ではなく一つの概念だ。その本質は、開発プロセスの変革とソフトウェアデリバリーの効率化にある。

 従来、企業が採用する開発手法としては「ウオーターフォール」型(開発工程を上流から下流へと順番に進める)開発が主流だった。ウオーターフォールでは、開発工程の後半に大規模なテストを実施するため、バグなどで手戻りが発生する可能性が高い。特にソースコードが10万行を超えるような大規模アプリケーションでは、バグの追跡にかなりの手間がかかる。

 DevOpsは、小規模な変更を短期間で繰り返し、顧客や利用者からのフィードバックに基づいて継続的に改善するといった「アジャイル」手法を採用している。アジャイル手法では、アプリケーション全体を一度に開発するのではなく、アプリケーションの一部の機能から開発する。開発した機能はテスト後、アプリケーション本体に追加する。その後、アプリケーション全体をテストする。このプロセスを何度も繰り返すことで、開発の初期段階でバグを見つけたり、新しく作った部分のバグを発見したりしやすくなる。

 DevOpsを採用するメリットは他にもある。それは開発チームとIT運用チーム間の摩擦解消だ。DevOpsにおいて両チームは、密接に連携し、開発するアプリケーションの内容やデプロイ(配備)の手順に加えて、デプロイ後にバグが発生した場合は、どう解消して次の開発サイクルに反映させるかを擦り合わせる必要がある。その結果、ソフトウェアデリバリーのプロセスが合理化され、開発チームとIT運用チームが衝突しにくくなる。

 DevOpsでは、以下のようなさまざまな技術やツールを用いる。

  • CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)
    • ソースコードのビルド(実行可能形式への変換)やテスト、デプロイを自動化し、リリースサイクルを短縮しつつ、品質を向上させる。
  • ソースコード管理
    • ソースコードの変更履歴を追跡し、チームが協力して効率的に管理できるようにする。
  • クラウドコンピューティング
    • クラウドを活用し、コンピューティングリソースのスケーラビリティと柔軟性を確保することで、インフラ管理の負担を軽減する。
  • 自動化された設定管理ツール
    • インフラ設定を自動化することで一貫性と再現性を確保し、手動作業を減らす。

DevOpsで「仕事が楽しくなる」うれしいメリットとは?

 DevOpsの導入企業は、アプリケーション開発において以下のようなメリットが得られる。

  • アップデートの迅速化
    • CI/CDパイプラインを活用することで、アプリケーションのアップデートを迅速に実施できる。企業は市場の変化に素早く対応し、ユーザーに最新の機能を定期的に提供できるようになる。
  • コスト削減
    • DevOpsでは自動化ツールを積極的に活用する。設定や環境を再利用するのが簡単になるため、コスト削減や提供する製品、サービスの規模拡大に役立つ。
  • セキュリティ強化
    • DevOpsでは、ソフトウェアデリバリーのプラクティスを標準化し、自動化する。これによって、人為的なミスや見落としのリスクが減るため、セキュリティ強化につながる。

 DevOpsの導入は、エンジニアにも以下のようなメリットを提供する。

  • 手作業の削減
    • 自動化のおかげで、インフラの設定をはじめとする面倒な手作業が減る。代わりに、アプリケーションアーキテクチャの更新計画、新しいクラウドサービスの評価といった、創造的な業務に時間を割けるようになる。
  • 問題解決の迅速化
    • ソフトウェアのリリースで問題が発生しても、CI/CDパイプラインを通じて迅速にアップデートを送り込むことで、問題を素早く解決できる。テストと監視を自動化することで、開発プロセスの初期段階でバグを特定して修正することも可能だ。
  • コミュニケーションの円滑化
    • 開発チームと運用チームのコミュニケーションが円滑になることで、両部門が協力し、市場や顧客ニーズの変化に迅速に対処できるようになる。

 次回以降は、DevOpsスキルを高めるための認定資格やトレーニングコースについて解説する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news082.jpg

生成AIはGoogle検索をどう変えたのか?(無料eBook)
モダンマーケティングの最新トレンドを無料eBookにまとめてお届けするこのシリーズ。今回...

news063.jpg

気になる「ATTオプトイン率」は今どのくらい? 日本のモバイルアプリ市場の現状
AdjustとSensor Towerが共同で発表した「モバイルアプリトレンドレポート 2024 :日本版...