「従業員監視ソフトウェア」とも呼ばれる「ボスウェア」は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック後も導入が進んでいる。雇用主がボスウェアを導入したがる理由は何なのか。
「従業員監視ソフトウェア」「生産性監視ソフトウェア」とも呼ばれるボスウェアは、雇用主が従業員のデバイスにインストールし、行動を監視するものだ。履歴書作成サービスを提供するStandOut CVは2023年、50件の従業員監視ソフトウェアを対象として、実装機能やツールの影響を調査した。それによると従業員監視ソフトウェアは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が発生した2021年と比べて、従業員の行動を詳細に追跡できる機能をさらに多く搭載するようになった。その背景には何があるのか。
ボスウェア台頭のきっかけは、パンデミックの際、企業がテレワークを実施するようになり、従業員の監視が必要になったことだ。調査会社Gartnerは、2025年までに監視ソフトウェアを採用する大企業の雇用主が70%に達すると見込む。ボスウェアを使用する理由として、経営層はさまざまな要因を挙げる。以下にその一部を紹介する。
StandOut CVの報告によると、パンデミック前後で比較して、搭載する従業員監視ツールが増えた主な機能は所在地のトラッキング機能だ。これはGPS(全地球測位システム)などの位置情報を検出する技術を用いた機能を指す。2021年と比べると、2023年は約45%増加した。
ボスウェアの導入数が増加している一因は、内部不正への対策強化、データ損失の防止、業務プロセスの最適化などに、従業員の行動データが求められるためだと考えられる。
ではボスウェアは合法なのか。端的に答えるなら合法だ。米国では、雇用主が監視ツールを使っていることを従業員に通知する法律上の義務はない。ただしバーモント州、コネティカット州、デラウェア州、ニューヨーク州など米国の一部の州は、監視されていることと、監視する権利が雇用主にあることを従業員に通知するよう法律で義務付けている。
監視ツールは通常、企業が所有するデバイスにインストールされる。所有権が雇用主にあるデバイスを従業員が使う際には、一般にプライバシーの権利はない。米国政府は上院の民主党議員と協力し、こうしたツールの利用に一定の規制を設けるための法案「Stop Spying Bosses Act」の策定を進めている。これは雇用主に対し、監視技術に関して従業員に伝えることを義務付けるものだ。ペンシルベニア州選出の民主党上院議員ボブ・ケイシー氏が提案した。ケイシー議員はこの他に、雇用主が雇用に関する判断をアルゴリズムのみに頼ることを禁止する法案「No Robot Bosses Act」も提出した。
次回は、PCに従業員監視ソフトウェアがインストールされているかどうかを確認する方法を紹介する。
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