半導体大手Intelの事業が芳しくない。人員削減や設備投資の削減を含む大幅なコスト削減に乗り出す。IT市場ではAI分野が盛り上がりを見せる中、Intelの事業はなぜ不調なのか。
半導体大手Intelの事業が変調を来している。同社が全従業員の約15%に当たる1万5000人以上の人員削減を計画していることが明らかになった。設備投資も大幅に削減になる見込みだ。IT市場が人工知能(AI)技術の需要に沸き立つ中で、Intelの事業はなぜ不調なのか。
Intelが2024年8月1日(現地時間)に発表した内容によれば、同社は2024年末までに従業員1万5000人を削減する他、2025年に設備投資を100億ドル削減する。
この計画を公表するに当たり、同社CEOパット・ゲルシンガー氏が従業員に宛てた書簡の内容を同社は公開した。ゲルシンガー氏は書簡の中で、収益は期待通りに伸びておらず、AI技術という強力なトレンドの恩恵を十分に受けられていないと説明。コストは高過ぎ、利益率は低過ぎると続けた。
売上高の推移を見ると、過去2、3年におけるIntelの業績不振は明らかだ。2020年通期の売上高が779億ドルだったのに対して、直近の2023年通期は542億ドルとなり、3年で237億ドルもの減収となっている。そうして売上高が減少する一方で、「現在の従業員数は当時より10%増加している」とゲルシンガー氏は説明する。
このコスト削減計画を公にするのと同時にIntelが発表した2024年度第2四半期(4〜6月期)の業績では、売上高は前年同期比1%減の128億ドルだった。同社は2024年第3四半期(7〜9月期)の売上高については125億ドルから135億ドルと予測。ウォール街のアナリストの予想である143億ドルを大幅に下回っている。
かつて半導体の世界的リーダーだったIntelは、競合他社に大きく遅れを取っている。GPU(グラフィックス処理装置)など、AI用途向けのプロセッサ製品に注力するNVIDIAの業績はまさに対照的だ。同社の2025年度第1四半期(2〜4月期)の売上高は約260億ドルで、前年同期比で262%増を記録している。特にAI関連の需要が伸びるデータセンター分野での増加が貢献した結果だ。
Intelと競合する製品を広く手掛けるAdvanced Micro Devices(AMD)の2024年度第2四半期(4〜6月期)の売上高は、約58億ドルで前年同期比9%増だった。時価総額ではAMDがIntelを上回っている。
Intelの業績回復の足かせとなっているのは、NVIDIAとAMDの成長をけん引してきたAI市場への参入に失敗したことだ。IntelのAI用途向けプロセッサ「Gaudi」は、AIアクセラレーター(AI処理を効率的に実行するためのハードウェア)の大口の顧客であるクラウドベンダーからあまり好評を得ていないとみられる。
AIモデルのトレーニングや活用の需要が高まる中で、企業の投資はAI関連への集中的に向かっている。そうした中で、「IntelはAI分野で十分に戦えていない」と、コンサルティング会社J. Gold Associatesの主席アナリストであるジャック・ゴールド氏は語る。
次回は、PCとデータセンターのそれぞれの市場におけるIntelの業績を取り上げる。
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