企業は「テープ」の特性を生かすことで、データ保管に関するさまざまなメリットを享受できる可能性がある。意外に知られていない、テープの幅広い使い方を紹介する。
「磁気テープ」(以下、テープ)は、保存容量や管理機能などさまざまな点で進化している。データ保管の一部の用途においてテープは重要な役割を果たし続けてきたが、HDDやクラウドストレージに劣らず、テープの用途は幅広くなっている。テープが使いやすくなった背景には何があるのか。
複数種類のストレージを組み合わせてデータを管理する「階層型ストレージ」の仕組みにおいて、テープは1つの階層を成すストレージとして使われることがある。階層型ストレージの場合は、アクセス頻度の低いデータを自動的にテープに移動させる機能があるため、ユーザーはデータがテープにあることをほとんど意識することはない。
テープは特に以下の役割で使われる傾向にある。
階層型ストレージにおけるデータ管理の役割はストレージ管理ソフトウェアが担う。ストレージ管理ソフトウェアは、具体的には以下の役割を担う。
テープ規格「LTO」(リニアテープオープン)用のファイルシステムである「LTFS」(Linear Tape File System)を使えば、メタデータを参照することでテープに保存されているデータを探しやすくなる。
このような技術進歩によってテープのデータを使いやすくなっているので、テープの用途は多様化している。例えばBI(ビジネスインテリジェンス)ツールやCRM(顧客関係管理)システムからでもテープのデータを取り出せる。
テープの定番の用途であるバックアップに関しては、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)対策としてテープを活用している組織がある。本番システムが稼働する拠点からは離れたオフサイトでテープによるバックアップを保管し、ランサムウェアの攻撃者からのアクセスを防ぐといった具合だ。こうした運用は、ネットワークに接続しておくことが基本のHDDでは実現しにくい。
クラウドストレージとの併用、またはクラウドストレージの代替としてテープを活用することも可能だ。クラウドストレージはアーカイブ(長期のデータ保管)に適しており、この点はテープと共通する。クラウドストレージの注意点の一つは、クラウドストレージから外部のインフラにデータを移動する際には「エグレス料金」(外部への転送料金)が発生することだ。自社のインフラでテープを保管するのであればエグレス料金は発生しない。
バックアップの基本ルールである「3-2-1ルール」を実践する際のストレージの一種としてもテープは役立つ。3-2-1ルールは以下の通り。
長期的に保管するデータを社内に1つは置いておきたいと考える企業にとって、テープは有用な選択肢になる。
次回は、テープを使用するに当たって知っておくべきテープの短所をまとめる。
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