企業やネットワーク管理者は、ネットワークを小さく分割する「サブネット」を活用し、処理速度や管理性の向上を図る。サブネットの配置や機器設置時の考慮点を解説する。
ネットワークをより小さく、管理しやすいセクションに細分化する「サブネット」を作成することで、ネットワークの処理速度や管理性の向上が期待できる。サブネットを作成する際、ネットワーク管理者はその“配置”、つまりサブネットによって区切る範囲や、サブネット内部に設置するネットワーク機器の設置場所を考慮する必要がある。どのような内容を考慮すべきなのかを解説する。
サブネットの構成はネットワークの地理的な配置に基づくのが基本となる。別のデータセンター内のネットワークや、クラウドサービス内のリソース間を接続する「クラウドネットワーク」は、それぞれ別個のサブネットとして分けるべきだ。
複数の地理的に離れた場所のネットワークを1つのサブネットとして構成することも可能だが、大抵は各クラウドネットワークや施設ごとにそれぞれ独自のサブネットを構成する方がネットワークの処理速度は向上する。
サブネットを構成する際は、従業員の配置も重要な要素となる。例えば、何千人もの従業員が働く職場では、サブネットをどのような区分けで作成するかは悩ましい。
部門別にサブネットを作成する企業もあるが、部門の配置変更や組織体制の変更時に混乱を招く可能性がある。建物のフロアや、場所の区割りといった、変更されにくい要素に基づいてサブネットを作成する方が効率的な可能性がある。
ネットワーク管理者はサブネットを作成する前に、機器の配置についても考慮する必要がある。特に、サブネット同士はルーターを介して接続されるので、ルーターの配置は重要だ。
ルーターの配置に関する考慮事項は次の通り。
企業は通常、ネットワークに複数のサーバを利用している。これらのサーバをどこに配置するかによって、ネットワークの処理速度が変わる可能性がある。
デバイスが、異なるサブネットにあるサーバにアクセスするには時間がかかる。とは言え、異なるサブネットにアクセスする場合でも、通常は問題になるほどのレイテンシ(遅延)は生じない。ただし、別のデータセンターやクラウドサービスなどが地理的に離れていたり、多数の従業員が同時に異なるサブネットのサーバにアクセスしたりすると、著しいレイテンシ(遅延)が発生する可能性がある。
この問題を回避する主な方法は次の通り。
ネットワークの輻輳(ふくそう)の緩和に役立つなど、サブネットにはメリットがある。しかし近年は企業ネットワークにおける輻輳の発生は減少傾向にある。
LAN内のデバイス間の通信にハブを利用する従来型のネットワークでは、コリジョン(データの衝突)および輻輳が発生しやすい。あるデバイスがデータを送信すると、ハブはそのデータを接続されている全てのデバイスに一斉に送信するからだ
コリジョンが頻繁に発生すると、通信速度が低下する可能性がある。この問題を解決するのがスイッチだ。スイッチは、送信元から送信先に直接パケットを転送するため、コリジョンを回避できる。スイッチを使用すればコリジョンを回避し、ネットワークの輻輳が起きるリスクを軽減できる。スイッチが企業ネットワークに普及しているため、輻輳を理由にサブネットを構築する必要性は低下している。
しかし、それでもサブネットは現代の企業ネットワークに重要な役割を持っている。例えば、ネットワークではブロードキャスト(同じデータを複数の受信者に同時に転送すること)が生じることがある。サブネットを適切に設定することで、ブロードキャストの頻度を下げられる可能性がある。
ネットワーク管理者は部門、場所、リソースの割り当てなど、さまざまな要素に基づいてネットワークを分離できる。企業がサブネットをどれほど使用するかは、ネットワークの構成と処理性能の要件によって異なる。
サブネットは時代遅れの技術ではない。さまざまな企業が、サブネットを採用するのは理由がある。企業やネットワーク管理者は、サブネットによってトラフィック量の削減による処理速度の向上やトラブルシューティングの効率化が期待できる。
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