広域イーサネットを拡張するPBB(Provider Backbone Bridge)技術を採用したコンパクトスイッチを2008年第4四半期中にリリースする。
ファウンドリーネットワークスジャパンは9月9日、広域イーサネットサービス向けのアグリゲーションスイッチ「NetIron CES 2000」シリーズを発表した。広域イーサネットの信頼性を高めるPBB(Provider Backbone Bridge)機能に対応し、キャリア(通信事業者)やサービスプロバイダーに売り込む。2008年第4四半期に出荷する予定で、価格は93万4450円から。
NetIron CES 2000は、1RUのコンパクトな筐体に24または48ポートのギガビットイーサネット(GbE)、2ポートの10GbEアップリンクの各インタフェースを備えるレイヤー3スイッチ。銅線、光ファイバーなど、収容するメディアの違いにより6モデルが用意される。広域イーサネットの管理機能OAM(Operations, Administration, Maintenance)やイーサネットのリング構成を可能にする独自のMRP(Metro Ring Protocol)をサポートするなど、耐障害性に優れる。
NetIron CES 2000の最大の特徴は、広域イーサネットの構築技術IEEE 802.1ahに準拠するPBB機能を搭載すること。キャリアイーサネット網のコアと、ユーザー企業内のネットワーク機器が接続するエッジ(PB:Provider Bridge)の2つのネットワークの中間に新たにPBBネットワークを構成し、イーサネットサービスを拡張する役割を果たす。
具体的には、イーサネットのMACフレームをMACフレームでカプセル化して網内で伝送する、従来「MAC-in-MAC」などと呼ばれていたIEEE 802.1ahの標準技術により、配下のPBネットワークを束ね、MPLS(Multi Protocol Label Switching)ベースのコアネットワークとのデータの橋渡しをすることができる。PBBを採用する最大のメリットを、米Foundry Networks ハイエンド&サービスプロバイダシステムビジネスユニットの製品担当ディレクター、アメド・アブデルハリム氏は「ユーザー企業のMACアドレスを隠すことで管理が容易になる点だ」と説明する。
ユーザー企業を広域イーサネット網で識別するためのVLANタグを付与するこれまでのIEEE 802.1adベースのPB機能では、網側のコアスイッチがユーザー機器のMACアドレスをすべて学習する必要があり、アドレス学習・検索処理時にスイッチに負荷が掛かる結果、遅延につながる欠点があった。そこでPBBでは、網の両端にあるエッジスイッチのMACアドレス、つまりイーサネット網内でのみ有効なアドレス情報をMACフレームのカプセル化時に付け加え、コアスイッチがそれを学習するだけでデータを送り届けられるようにしている。さらに、ユーザー企業識別用VLANタグ内のデータフィールドを広げることにより、イーサネットサービスを提供できる企業の数がPBベースのネットワークよりも飛躍的に増え、より大規模なイーサネット網を構築できるようになるという。
アブデルハリム氏によると、ファウンドリーが今後提供するキャリア向けメトロイーサネットとしては、NetIron CES 2000のPBB機能を生かして基幹のMPLS/VPLS(Virtual Private LAN Service)ネットワークには同社コアルータ「NetIron MLX」を、PBネットワークには「FastIron Edge X」のようなエッジスイッチを配置する3層構造のソリューションを描いている。
キャリアイーサネット市場における同社のシェアは2008年第1四半期で5%と、順調に伸びているという。だが、ここ数年停滞気味のネットワーク機器市場において成長の見込めるこの分野でも、ジュニパーネットワークスやシスコシステムズといった強力な競争相手がいる。その対抗策として同社は、拡張性や一貫性のあるソリューションをできる限り速やかにユーザーに提供していく考えだ。
「彼らは従来型のMPLS対応機器に依存した戦略を打ち出しているが、われわれは現実的な手段として、業界でいち早く省スペース化とPBB対応を両立した。他社よりも早く技術革新をするのがファウンドリーのビジョン」(アブデルハリム氏)
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