競争力向上や全体最適化は中堅・中小企業でも重要なテーマ。だが、ERPの次の主力市場では大企業にはない独自のニーズや傾向がある。パッケージの選択眼を養うため、まずはSMB向けERP市場のトレンドを追ってみよう。
国内での導入が本格化してから10年以上が経過したERPパッケージ。少し前から大手企業を中心とする導入は一巡し、中堅企業へと主力が移っていくといわれてきた。実際、ERPをはじめとする業務パッケージの導入割合が年々伸びてきていることは、アイ・ティ・アールの市場調査リポートなどでも確認できており、今後は独自開発と何らかのパッケージを利用してシステムの再構築を検討する企業の割合が逆転していく傾向すら見えてきている。このような追い風を受け、ERP市場全体の2007年度国内出荷金額は約914億円、前年比110.4%の伸びを示した(図1)。
ERP市場を大企業向け、中堅企業向け、中小企業向けの3つの製品規模別に分類すると、2007年度の出荷金額は大企業向けERP市場と中堅企業向けERP市場がともに前年比約117%と高い伸び率を示していた。しかし、この傾向に変わりはないものの、2008年度は景気低迷に伴うIT投資の減速により、前年比104.8%とやや低い伸びにとどまったと推測される。さらに2009年度も、底の見えない経済状況が急速に上向くとは考えられず、今のところ前年並みの業績で推移するとみざるを得ない。
中堅企業向けERP市場をOS別に見ると、Windowsが約90%の圧倒的なシェアを占めている。伸び率ではLinuxがやや高いものの全体から見ると割合は小さい。大企業向けERP市場でもWindowsはシェアを伸ばして70%弱となってきており、基幹系業務におけるWindowsの評価は定着してきたといえよう。一方、業種別の出荷金額およびシェアでは、製造、流通、サービスの3業種で90%程度を占めており、大企業向けERPと大きな差異は見られない。
一方、会計、人事、販売、生産などの業務分野別で見ると、中堅企業向けERP市場は大企業とは多少異なる状況がうかがえるが、これはSCM、SRM(Supplier Relationship Management:サプライヤー関係管理)、CRMが中堅向けにはオラクルなどの一部の製品しか提供されていないことも影響しているだろう。例えば、中堅企業向けERP市場での販売業務分野のシェアは、大企業のそれの倍程度となっている。実際に企業の導入動向を併せて考えると、むしろ中堅企業の方が会計だけでなく販売とのセット導入に前向きだといえる。
その理由として、会計だけでは仕事が回らないという方針や、大企業向けの製品に比べて国内企業の実情・業種別に特化した機能やソリューションが豊富で、柔軟に対応できる国内ベンダーの製品の利用率が高いことが背景にあると筆者はみている。ただし、販売と会計の連携性はまだ高いとはいえない。また、人事・給与におけるパッケージの導入率がわずかながら高いのは、給与計算などの定型的な業務を自社で独自開発することに付加価値がないとの判断がむしろ中堅企業で顕著なためと思われる。
そして、生産管理分野のシェアが大企業に比べて倍程度と高いことも注目すべきだろう。その理由としては、やはり販売と同様、業務の実情や現場に即した機能改善などが評価されている国産パッケージの利用率が高いことがある。Infor Global Solutions(以下、Infor)、CDC Softwareなどの産業や業種に特化した製品を除けば、海外製品のシェアは生産管理分野では非常に低い。
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