プロセス分析で効果的なBPM利用を
BPMシステム利用、まずはプロセスフローの可視化から
BPMシステム採用に当たっては、プロセスを視覚化するプロセスマップを作成すべきだ。プロセスを合理化、改善することができる。
ビジネスプロセスマネジメント(BPM)システムについて取り上げる本稿はまず、筆者が数年前、新しいERPシステム選定のプロジェクトを指揮していたときに遭遇したプロセスフロー図作成ソフトについての話から始めたい。
われわれが製品を検討していたとき、CFO(最高財務責任者)から、もう1つ選択肢を追加してほしいと頼まれた。CFOの義兄弟の従妹の友人が新興のIT企業に勤めており、その会社がビジネスアプリケーション開発製品を開発したとのことだった。わたしはこの企業を、わが社のERP選定プロセスに加えた。
この製品について知るために、まずは同社の創業者と営業担当副社長に会った。2人は同社が開発した製品がいかに素晴らしいかを力説した。ユーザーがビジネスプロセスに必要なビジネスルールとプロセスフローをユーザーインタフェースで定義する。するとこの会社の技術が、そのルールとフローに対応したアプリケーションとデータベースを構築してくれる。最大のセールスポイントは、ありきたりの標準機能で我慢する必要はもうなくなるという点だった。組織内の各部門が、その部門独自のビジネスルールとプロセスフローに対応したアプリケーションを構築できるという。言い換えれば、単に処理手順を自動化できるだけでなく、手順を明文化できるというわけだ。
しかしわれわれのプロジェクトの1つの目標は、トランザクションプロセスを業界のベストプラクティスに沿わせることだった。従業員補償の処理用には、独自かつ独特のビジネスルールやプロセスフローは恐らく必要ないと思われ、結局この企業と技術は選定の対象から外した。
わたしはBPMシステムのことを考えるたびに、この経験を思い出す。BPMはここ数年で大きく進歩した。もはや、企業が導入とサポートに追われて手いっぱいになるような巨大システムではなくなった。そして特定のビジネスプロセスについては、BPMシステムは大いに役に立つ。
しかし、手順の明文化に二の足を踏んだ自分のことを思い出し、わたしは常に処理プロセスをBPMプロジェクトの一環として体系化、合理化、簡素化している。最近、CIO仲間の1人に、わたしはシステム要件収集活動の一環として常に手作業でプロセスマップを作成していると話して驚かれた。
プロセスマップはプロセスを視覚化してくれる。プロセスが視覚化されれば、プロセス手順の有用性と品質を客観的に評価でき、プロセス合理化と改善の手段を見いだせる。まずプロセス変更を実施して、それからBPMツールを使ってプロセスの自動化と管理を支援するのだ。
例えば数週間前、われわれは販売見積もりプロセスのマップを作成することにした。わが社はさまざまな種類のプロジェクトに応札しており、営業担当者は(営業担当者というのはそういうものだが)そのプロセスに対してそれぞれ違ったアプローチを持っていた。合理的なスケジュール作成とリソースの優先順位決定のためには、営業活動の流れをもっと可視化する必要があった。わたしはプロセスにかかわる営業、会計、製造スケジュール作成などの担当者を集め、現在のプロセスをたどった。チームの各担当者には「プロセス通りに動く」ことを求め、何が、どうなるかを順を追って説明してもらった。
プロセスステップを四角で、意思決定ポイントをダイヤ形で書き記していくうち、問題がはっきりしてきた。プロセスの末端の方にいる担当者(見積もりに値段を付けなければならない会計担当者、スケジュールや必要な設備を調整しなければならない製造担当者など)に必要な情報が届くのが遅過ぎるケースが、あまりに多いのだ。結果として見積もりが遅れ、営業担当者のイライラが募り、わが社はせっかくのチャンスを失うことになる。
プロセスマップにはあらゆる種類の意思決定のダイヤ形を書き込み、「このプロセスステップ完了のために十分な情報があるか」と問い掛けた。答えが「ない」なら、プロセスフローに従ってステップをさかのぼり、必要な情報を収集する。
プロセスが目に見えるようになると、営業担当者はすぐに問題を理解し、プロセスの末端のステップで把握しなければならない事項をリストアップした共通テンプレートを全員が使うことを提案した。会議が終わるまでにはテンプレートの草案が出来上がり、それを使い始めることで意見が一致していた。
ここまでやったところで、順調に次のステップに進むことができ、プロセスワークフローの一環として必要な情報を収集・検討する技術を導入することができた。このBPMプロジェクトの一環としてプロセスを分析していなければ、われわれのワークフローは幾つもの個所で、足りない情報を補うために後戻りするという堂々巡りが描かれていただろう。
われわれはまずプロセスを整理することにより、自動化に値するプロセスを自動化したのだ。
本稿筆者のニール・ニコライゼン氏は米HeadwatersのCIO兼戦略プランニング担当副社長。
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