国産のクラウドベンダーであるIIJが提供する「GIO」。日本の事業者ならではのきめ細やかさと、「個別対応/別途見積もり」に逃げないサービスメニューの豊富さは特筆に値する。
本連載「企業向けシステムを構築するパブリッククラウド」ではパブリッククラウドを使った企業向けシステム構築について解説し、これまで5回にわたり、Amazon Web Service、Force.com、Google App Engine、Windows Azure、Verizon Business(CaaS)を取り上げた。ここまで連載して気付いたのだが、米国のクラウドベンダーばかりを扱っており、日本国内のクラウドベンダーにまったく言及していない。一部からもご批判・ご要望もあり、連載を再々延長して「第6回」をお届けすることとしたい。
【第1回】コンピュータリソースを無制限に活用できる「Amazon Web Services」
【第2回】豊富なテンプレートを備えたアプリケーションプラットフォーム「Force.com」
【第3回】「Google App Engine」企業利用におけるさまざまな課題
【第4回】オンプレミスとの連携を意識した「Windows Azure」
【第5回】ハイエンドエンタープライズクラウドの決定版「CaaS」
今回は株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)が提供している「IIJ GIO」(以下、GIO)を紹介する。毎度申し上げていることではあるが、変化の激しい分野でもあるので、記載されている情報は原稿執筆時点のものであることをご了解いただきたい。
ご存じの方も多いと思うが、IIJは日本のインターネットの黎明(れいめい)期に創立されたインターネット接続専業の通信事業者である。一般消費者向けのプロバイダー(ISP)の草分けとしても著名だが、得意分野は大規模な通信インフラを活用した企業向けインターネット接続および拠点間通信である。同社が日本の社会基盤として高品質なインターネットを整備してきたという実績は異論のないところだろう。
かつてIIJの子会社が、2000年より企業向けにITリソースをオンデマンドで提供するシステムインテグレーション、アウトソーシングサービス事業を実施していた。このサービスにおいては、顧客はサーバなどの機器類を保有する必要がなく、また課金も月額課金方式であった。今でいうクラウドに近いサービスだったわけだが、今般、IIJはこの子会社を吸収し、また、サービス内容を大幅増強して「日本のクラウド」と銘打って(再)参入を実現した。2009年12月に始まったクラウド系新サービスが「GIO」である。
GIOは、3種類のサービスレイヤーで構成されている。最上位のレイヤーではアプリケーションをクラウド型で提供するサービス(いわゆるSaaS)がある。ここではサイボウズのガルーンや、自社開発のモバイルCRMサービスなどをレディーメードで提供している。残念ながらサービスのラインアップはあまり多くない。
2番目のレイヤーはプラットフォームサービスと呼ばれ、PaaSに近いHaaSである。こちらもレディーメード型でWebホスティングの開発環境/実行環境や、大規模ストレージ、シトリックス・システムズ・ジャパンの仮想デスクトップなどを提供している。このレイヤーのサービス内容と、ユーザー企業の利用目的とが合致した場合には、超短納期で利用開始が可能であり、非常に強力な武器となり得る。ただし、前項同様、サービスメニューは豊富とはいえないようだ。本稿ではこれらの上位2レイヤーについて詳解することは避け、次に述べる3番目のサービスレイヤーに注力したい。
3番目はコンポーネントサービスと呼ばれ、HaaS/IaaSに類するものである。この部分こそGIOの真骨頂である。
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