NASDAQ証券取引所の「NASDAQ Data-On-Demand」は、Amazon S3に10分間隔で保存する膨大な公開市場データをユーザーが利用できるようにするクラウドサービスだ。
米NASDAQ証券取引所は、その膨大な公開市場データをクラウドコンピューティングサービスとして提供することにより一般の人々が利用できるようにしている。さらに同取引所では、米AmazonのSimple Storage Service(S3)を利用して、クラウドストレージの斬新な活用方法を試している。
NASDAQは、同取引所で毎日取引される株式に関する何十万件もの情報を収集・分類し、Market Replayサービス(専門家やアナリスト向けのオンライン参照ツール)を通じてそれらを提供している。
「NASDAQ証券情報プロセッサとSIACプロセッサから出力された相場情報は、過去3年分にわたってすべて保管してある」と話すのは、米NASDAQ OMXで製品管理を担当するジェフ・キムジー共同副社長だ。これは「レベルI株式情報」と呼ばれ、取引銘柄と売買高のデータが含まれる。NASDAQの新サービスは、このデータへのアクセスとその利用方法を大きく変えるものとなった。
「NASDAQ Data-On-Demand」と呼ばれるこのサービスは、ユーザーがNASDAQの巨大なデータストアにプログラム経由で接続することを可能にするもので、オンラインでデータを参照したり、膨大な生データをダウンロードして自分で分類したりする必要はない。アプリケーションプログラミングインタフェース(API)により、先進的なユーザー(財務アナリストは一般にコンピュータも得意だ)は、データに直接クエリを実行することができるため、既存の分析ツールをデータに直接接続するのも簡単だ。
キムジー氏によると、ユーザーは調査、コンプライアンス、トレーニング、自社の履歴情報の確認などに必要な特定の情報を得ることができるという。アルゴリズムトレーディングを行っているユーザーの場合は、過去数年分の実績データに対して自動トレーディングスキームを実行することによって、株式売買の新手法をバックテストすることができる。これは株式市場を研究する人々にも役立つ。
「履歴アプリケーションを作成するのは、スイッチをポンと入れるのと同じくらい簡単だ」と同氏は語る。
NASDAQはこのデータをクラウドサービスとして提供しているが、それが可能なのは、同社が既にデータをS3上に置いていたからだ。技術的な課題は、毎日入ってくる洪水のようなデータを整理・分類することだ。
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