京都大学医学部附属病院が利便性と安全性の両立を目指し、デスクトップクラウド環境を採用する医療情報システムを構築、本格稼働を開始した。
京都大学医学部附属病院(以下、京大病院)は9月14日、新総合医療情報システム「KING5(Kyoto University Hospital INformation Galaxy version 5)」を9月に本格稼働したと発表した。KING5はIBMのヘルスケアソリューション「Clinical Information System」(以下、CIS)を基幹システムとし、2100台以上のPC端末および1500台のハンディターミナルをデスクトップクラウド環境で運用する(デスクトップ仮想化を解説した関連記事:デスクトップ仮想化がもたらす柔軟で堅固なIT基盤)。
今回のシステム構築に当たり、京大病院では「臨床・教育・研究」の3つにおける最適な病院情報システム(HIS)を検討し、利便性と安全性を両立するシステムの構築を目指したという。
京大病院では2005年にCISを導入し、電子カルテシステムとその周辺システムを約1200台の電子カルテ用PC端末、50台のPHS型ハンディターミナルで運用してきた(京大病院のIT化の取り組みを紹介した記事:「医療クラウド」実運用を見据えた先進病院の取り組み)。その後、HISが多くの診療業務に活用され、PC端末数も2100台に拡大。より高いレベルで情報の安全性を保つ必要が出てきた。そのため、京大病院は全ての診療情報をサーバ上で処理し、各PC端末に診療情報を残さないデスクトップクラウド環境に移行した。
デスクトップクラウド環境は「IBM Smart Business デスクトップ・クラウド構築サービス」を活用し、2100台のPC端末向けに90台のブレードサーバ「IBM BladeCenter」で構築。電子カルテ端末や研究棟のPCに加えてタブレット端末やスマートフォンなどからもアクセスできる(関連記事:孫社長も賛同したiPad/iPhoneを活用する“医療クラウド”)。
また、臨床研究などでユーザーが独自に利用可能なデータベース環境を提供し、医療従事者間で共有する仕組みを構築した。IBMによると、HIS内で臨床研究のデータを効率的に蓄積でき、患者の個人情報に厳密に配慮したデータの扱いが可能になるという。さらに、Bluetoothを用いた小型バーコードリーダによる新しい認証システムを構築し、セキュリティ面を強化。約1000人の看護師、医師が利用している。
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