巨額のIT投資は生かされている? 銀行に見るERP活用実態識者が語る「ERP製品選択の目」:野村総合研究所 古川昌幸氏

IT予算が多いにもかかわらず、銀行のERP採用率は意外に低い。勘定系システムに偏ったIT予算をあらためて、ERPなど情報系システムの活用を進めるにはどうすればいいのか。識者に聞いた。

2011年09月22日 09時00分 公開
[垣内郁栄,TechTargetジャパン]

 日本情報システム・ユーザー協会の調査によると、銀行の売上高に占めるIT投資の比率は3%台で、全産業平均の1%台を大きく上回る(参考記事:基幹系クラウドの期待と現実、調査結果で赤裸々に)。それだけのIT予算を持ちながらも、銀行のIT投資は独特だ。ERPパッケージの採用状況を中心に動向を探った。

 「現行システムの保守に8割くらいの予算を掛けている。そのため新しいIT投資が生まれていない」。野村総合研究所のシステムコンサルティング事業本部 ビジネスデザインコンサルティング部 部長の古川昌幸氏は、銀行のIT投資の動向をこう話す。モノを製造し販売するのではなく、マネーをやりとりする銀行は早い時期からIT化を進めてきた。会計勘定業務を行い、ATMや為替、他行とのインタフェースなどを処理する勘定系システムは1950年代の第1次オンラインシステムから第2次、第3次と開発が続けられ、高度なサービスを実現してきた。

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