企業のモバイル活用は2013年にさまざまなスタイルに進化した。その傾向は2014年も続く。専門家の予想をまとめた。
モバイルエンタープライズ市場におけるコンシューマー向けのデバイス、アプリケーション、ソフトウェアの需要拡大とともに、IT部門は従業員が利用するデバイスへのコントロールを徐々に失いつつある。その結果、エンドユーザーは今までないほど強大な力を持つようになってきた。
しかし、そうした中、ネットワークセキュリティはどうなっているだろう? 私物端末の業務利用(BYOD)が進展する状況にあって、ハードウェア上のビジネスデータと個人データを、どう切り分けているのか? 企業はそうしたデバイスにおいて、アプリケーションの利用拡大をどのように計画しているのか?
われわれは何人かのモバイル専門家や業界ベンダーにインタビューし、2014年におけるコンシューマライゼーションの最新動向を聞いた。モバイル分野の専門家たちが語ったこととは。
米Lopez Research
エンタープライズモビリティコンサルタント
マリベル・ロペス氏
「企業は、まさにスタートしようとしているところだ。デバイスでもっと多くのことをやろうと考えている。これまでは単なる電子メールであったり、カレンダーであったり、その他の2、3のアプリだけだった。今、彼らは言う。『2014年には数百種類のアプリが必要だ』と。数百というのは極めて大きな数字だ。5や10ではない。膨大な数のアプリを効率的に手に入れるために、どのような優先順位を付けるか?」
同氏は、Mobile Backend as a service(MBaaS)こそが、次のブームになるという。
「MBaaSは2014年のBYODになる。アプリが重要であるなら、バックエンドシステムとの統合化は不可欠だ。それはもう1つのプラットフォーム層となる。人目を引くものではないが、絶対に必要なものではある」
米VDC Research Group
上級モバイルアナリスト
エリック・クライン氏
「人々は、2013年はモビリティが大躍進した年だったと言うが、実はまだ本当には始まっていない。実際、特にアプリは市場において大規模に広がったとはいえない。ただ、われわれは不況から脱しつつある。IT予算はしばらく低く抑えられてきたが、再び増額されようとしている。(中略)プラットフォームの革新についていえば、まだ十分な軽量化や高速化が実現していない。解像度の面では進んだものの、それ以外ではさほど進化していない。耐久性という点でも、今後もっと大きな進展があるだろう」
米Citrix Systems
モバイルソリューションおよび戦略担当副社長
フィリップ・レドマン氏
「企業はモバイルを次のレベルにどう引き上げるか模索している。ある段階において、一般的なアプリがアプリストアに出そろった。だが、それらのアプリは企業向けに設計されたものではない。『Evernote』や『GoodReader』『Dropbox』などは、エンタープライズクラスとはいえなかった。それらはデータを保存するコンシューマアプリであり、それ以上のものはなかったのだ」
「確かに、ユーザーエクスペリエンスは巨大な分野だった。しかし、iOSの電子メールを考えてみよう。コンシューマーにとっては素晴らしいアプリに違いないが、企業向けに設計されたものではない。それでも企業は使わざるを得ない。その結果、多くのアプリケーションを導入した企業では、どうすればエンタープライズクラスのアプリケーションを開発できるか、という点に目を向けるようになった」
米Spoon.net
創業者・CEO
ケンジ・オバタ氏
「モバイルは、5年前の仮想化の状況と同じだ。われわれはそう見ているし、顧客もそう話している。2013年はBYOD元年ではなく、BYODが必然になった年にすぎない。BYODとモバイルアクセスは100%、これから始まる。それがIT部門やベンダーのCIOたちの共通認識だ。問題は、アプリケーション仮想化とセキュリティ管理の最適な答えを誰がもたらすかである」
米Palador
代表・モバイルアナリスト
ベンジャミン・ロビンズ氏
「今後は、適応性と柔軟性が話題の中心になるはずだ。モバイルを管理する企業は、この先ますます増えてくる。ウェアラブルや“モノのインターネット”、デバイスのセンサー化がさらに加速する。そのため、適応性と柔軟性が非常に重要になるのだ。テクノロジーに適応できない企業は、苦痛を味わうことになるだろう。これからも増え続けるモバイルテクノロジーに適応して、それをうまく活用できる企業だけが、成功を約束される」
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