2015年の「Worldwide Developers Conference(WWDC)」において、米Appleはモバイルエクスペリエンスの刷新を求めるiOSのアップグレードを発表した。
WWDCのハイライトは、改良されたAppleの「マップ」と「Siri」の発表や新しい音楽ストリーミングサービスの紹介などである。だが、WWDCで紹介された中で最も急進的な機能は、恐らくディープリンク技術をベースにしたiOS 9における新しい検索APIである。
Appleのディープリンク技術により、ユーザーは自身のデバイスで、アプリケーションだけでなく同時にWebページ検索もできるようになる。異なるアプリケーション内のコンテンツへ検索対象を広げることも可能だ。基本的にはこの機能により、アプリケーションの画面はWebサイトのインデックスページのように動作する。米Forrester Researchのアナリストであるマイケル・ファミール氏によると、「これは今日の携帯電話におけるモバイルエクスペリエンスに基づく、よりパーソナライズされたコンテンツを作り出す」という。
新しい検索APIはユーザーにとって有益である一方、モバイルアプリケーション開発チームにとってもまた恩恵になるとアナリストは話す。このAPIにより、彼らのコンテンツはより検索されやすくなり、アプリケーションを列挙してリンクする機会が与えられる。
「ユーザーエクスペリエンスの設計者とアプリケーションの開発者は、新しいAPIを通してどのコンテンツを公開するかについて考える必要がある」と、Forresterでプリンシパルアンリストを務めるマイク・グアルティエーリ氏は電子メールで答えた。「適切なコンテンツを公開する会社は、自社のアプリケーションを継続的に表示させ、Appleアプリケーションに対するユーザーエクスペリエンスを改善するだろう」
ファミール氏によると、開発者はディープリンクを使うために、アプリケーションの構成要素を確実に「着陸地点」のように動作できるようにする必要がある。従来のアプリケーションのホーム画面は、もはやディープリンクによりユーザーがたどり着いたときに常に最初に目にする地点ではないからだ。従ってモバイル開発チームは、ユーザーが直面するアプリケーション内の検索結果を、ユーザーのスタート地点になる可能性があるものとして扱わなければいけない。
ディープリンクの概念は、Appleにとって新しいものではない。iOS 8でAppleは、サードパーティーのアプリケーションが相互に作用できるようにする機能拡張を提供した。しかしこの新しい検索APIの発表は、ユーザー派生の先進的なモバイルアプリケーションのエコシステムへ広くシフトする動きを示す。
Appleの最新の機能は、米Quixey、米DeepLink、米URX、米Buttonといったディープリンクにフォーカスした新興企業から取り入れたものだ。これらの企業は全て、アプリケーションの内部にインデックスを付けたり、コンテンツをリンクするサービスを開発している。しかしディープリンク戦争において、テクノロジー最大手の主要な競争相手の1つは米Googleである。最近のGoogle検索アプリケーションは、その他のAndroidやiOSアプリケーションの内部から検索結果を表示し始めた上に、さらにダウンロード可能な関連アプリケーションをユーザーに提示する。
しかしGoogleの検索アプリケーションとは異なり、Appleのディープリンクは実際にiOS自体に統合されており、歴然とした優位性を示している。
モバイルのディープリンクの利便性により、デジタルコミュニケーションの永続的な問題に関する懸念も生じている。データのプライバシーである。いかなるアプリケーションも、
をAppleはユーザーに保証している。これは最近のAppleのCEOティム・クック氏による、消費者のプライバシー権の支持表明に従ったように思われる。
しかし、ディープリンクされた情報を保護することは、プライバシー保護するよりも複雑である可能性がある。ディープリンク技術はモバイル検索をより強力にするが、アプリケーションがミラーWebリンクに遷移するために、ディープリンクはユーザーがどこからアクセスしたかという情報を保持する。そしてその情報はサードパーティーのアプリケーションを通過していく。
「ユーザーがこれらの全てに接続されたとき、そのユーザーには、自分が実際、何に接続されているのかが分からない」と米Gartnerのアナリスト、ケン・デュレイニー氏は述べた。
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