ハイパーコンバージドインフラで失職? 技術動向によって変わるIT担当者の仕事これからは特定の知識だけではいけない

コンポーネントが全てパッケージ化されているハイパーコンバージドインフラ。IT部門はシステム全体を一括して管理できるため便利そうだが、この技術により別の課題が起こる可能性がある。

2015年09月01日 15時00分 公開
[Brien PoseyTechTarget]
ヴイエムウェアのハイパーコンバージドインフラ「EVO:RAIL」のWebサイト《クリックで拡大》

 企業がハイパーコンバージド(超垂直統合型)インフラストラクチャを導入すると、VDI(仮想デスクトップインフラ)管理者は、仕事のスタンスを変えなければならないことが多い。ITインフラのある分野を専門に手掛けるのではなく、ハイパーコンバージドシステム全体を管理することが必要になる。


 ハイパーコンバージドインフラの導入に伴い、管理者は幅広い仕事を担当しなければならないが、企業はパフォーマンスや使いやすさの向上などを目的に、ハイパーコンバージドインフラをVDIの基盤として採用している。ハイパーコンバージドインフラでは、データセンターのハードウェアコンポーネントとソフトウェアコンポーネントが緊密に統合されている。そのため、ハイパーコンバージドインフラを基盤とすることで、VDIの展開の複雑さを軽減するとともに、パフォーマンスを高めることができる。

 ハイパーコンバージドインフラを使うことがVDI管理者の仕事にどのように影響するかを理解するために、ハイパーコンバージドインフラの導入前のIT部門の多くがどのような業務体制だったかをまず考えてみよう。大抵は、担当する技術ごとに縦割りになっていた。例えば、IT部門のあるグループがサーバを扱い、別のグループがストレージを管理し、さらに別のグループがネットワークの面倒を見るといった具合だった。

 こうした従来の管理アプローチは、さまざまな点で理にかなっている。IT担当者は幅広い技術分野で一般的なスキルを身につけるのではなく、特定の分野で専門知識やノウハウを磨けるからだ。だがハイパーコンバージドインフラでは、この種のシステム管理の方式は成り立たない。

米EMCのハイパーコンバージドインフラ「VSPEX BLUE」(参照:5分で分かる「ハイパーコンバージドシステム」の仕組みと主要製品)《クリックで拡大》

 企業はハイパーコンバージドインフラを、最適に調整されたハードウェアとソフトウェアを搭載する既製品として購入する。1つのハイパーコンバージドインフラは通常、コンピューティングやストレージ、ネットワークリソースに加え、ハードウェアレベルの構成および管理タスクを全て処理するソフトウェアコンポーネントを備える。

 そのため、従来のVDI管理者のように特定の専門を担当する方式はハイパーコンバージド環境で通用しない。例えば、ストレージ専任の管理者は必要ない。ストレージはハイパーコンバージドスタックの他の部分と不可分だからだ。同様に、VDIに特化した管理者も必要ない。

 あなたの会社がハイパーコンバージドインフラの導入を決めたら、IT部門の長期的な再構築戦略も策定しなければならない。再構築によるリストラはすぐにはしないだろう。多くのIT部門が少なくともしばらくは、レガシーシステムのサポートを続けなければならないからだ。しかし、いずれはハイパーコンバージドシステムがそうしたレガシーシステムに取って代わる可能性もある。IT部門は仕事のやり方を見直さなければならないだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

製品資料 ServiceNow Japan合同会社

7つのユースケースで探る、リスク/コンプライアンス管理の課題と解決策

企業がビジネス規模を拡大し、サプライチェーンやビジネスパートナーとの協業が進んだことで従来型のリスク/コンプライアンス管理の限界が露呈しつつある。リスク管理を次のステップに進めるためには、これまでと異なる仕組みが必要だ。

事例 ServiceNow Japan合同会社

1年で顧客離脱率が20%低下、Lenovoは自社サービスの価値をどう高めたのか?

Lenovoでは、顧客デバイスのライフサイクル管理を支援するDevice as a Serviceを世界中に提供している。しかし、そのオペレーションは複雑であり、顧客エクスペリエンスを高めるために改善が必要だった。同社が採った改善策とは。

製品資料 LRM株式会社

“惰性”から脱却して効果を上げる、年間を通じたセキュリティ教育計画の立て方

セキュリティリスクが増大している今日において、社内のセキュリティ教育は必須のタスクとなっている。しかし、セキュリティ教育それ自体が目的化してしまい、確実な効果を上げられていないケースも多い。

製品資料 LRM株式会社

進化するサイバー攻撃に対応、セキュリティ教育を見直すための3つのポイント

日々進化するサイバー攻撃から自社を守るためにも、時代の変化やトレンドに応じてセキュリティ教育を見直すことが必要だ。その実践ポイントを「目的の再確認」「教育の実施状況の分析」「理解度・定着度の測定」の3つの視点で解説する。

製品資料 株式会社ブレインパッド

DX推進を見据えた「データ活用人材」を社内で育てるための効果的な方法とは?

データ活用人材を社内で育成するためには、「DX推進者」や「分析実務者」などの役割に応じたスキル定着が欠かせない。効果的な育成を行う方法として、あるデータ活用人材育成サービスを取り上げ、その特徴や事例を紹介する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。