Skype for Business Serverのクライアントは無料のコンシューマー向けSkypeと同じインタフェースを備えている。連絡先、プレゼンス情報、ボタン、アイコンなどはどれもコンシューマー版と共通だ。
Skypeのインタフェースは2015年に刷新した。インタフェースの使い勝手が向上し、雑然とした感じを改善している。「クイックアクション」ボタンなどの機能がLyncから新しいSkypeクライアントに移行し、通話、IM、ビデオ会議などの機能を数クリックで利用できる。
PBXデスクフォンを導入済みの企業は、その電話を使ってSkypeの連絡先リストに登録した相手と通話できる。Skypeクライアントから電話をかけたい相手を選んで発信すれば、Skype for Businessサーバに信号を送る。同サーバがPBXに信号を送ると、ユーザーの回線が開き、デスクフォンを使って通話できる。
Skype for Businessクライアントでは、ユーザーは電話をかける他、ファイルの共有、音声会議やビデオ会議、デスクトップの共有、IMの送信、他ユーザーのプレゼンス情報をリアルタイムで確認できるなど、多くの機能が利用できる。SkypeクライアントはWindowsとLinuxの他、Androidスマートフォンとタブレット、Appleの「iOS」で用意している。
Skype for Businessは、インターネットやPSTN(公衆交換電話網)/ISDN、通信事業者など、企業を社外の世界とつなぐためのさまざまな方法を提供する。企業をインターネットと接続し、各種のサービスを提供する役割を果たすのはエッジサーバだ。エッジサービスには以下のようなものがある。
アクセスエッジサービス SIP(Session Initiation Protocol)トラフィックの送受信に使用する
プレゼンスIMプロキシサービス XMPP(eXtensible Messaging and Presence Protocol)プロキシサービスを介して外部ユーザーがプレゼンス情報とIMにアクセスできるようにする
音声ビデオエッジサービス 外部ユーザーによるアプリケーション共有や音声、ビデオ、ファイルの転送をサポートする
Web会議エッジサービス 社内のSkype for Business Serverでホスティングしている会議に外部ユーザーが参加できるようにする
WANへの導入モデルではもう1つ、リバースプロキシが必須になる。リバースプロキシはエッジサーバと連係し、外部ユーザーが会議のコンテンツをダウンロードしたり、クライアントやデバイスをアップデートしたり、アドレス帳サーバからファイルをダウンロードしたり、URLを使って会議に接続したり、モバイルサービスを提供するフロントエンドサーバを見つけたりできるようにする。
仲介サーバは、社内VoIPインフラとPSTNネットワークまたはSIPトランク間で信号を変換するためのコンポーネントだ。仲介サーバは通話間のメディアトランスコーディングという重要な役割を担い、Skype for Business Serverが動作しているネットワーク内でSRTP(Secure Real-Time Transport Protocol)の暗号化と復号を実行する。さらに同サーバは通信事業者とのSIP接続やPSTN/ISDNネットワークのゲートウェイとして機能するIP-PBXへのSIP接続を処理する。
Skype for BusinessをPSTN/ISDNネットワークと接続する必要がある企業は、IP-PBXゲートウェイとともに仲介サーバを使わなければならない。IP-PBXゲートウェイはPSTN/ISDNネットワークの終端として機能し、SIPを使って仲介サーバ経由でSkype for Businessと通信する。
Skype for Businessには、Microsoftが提供する仕様に準拠し試験要件を満たしている認定ベンダーのリストがある。それ以外のベンダーの製品ではSkype for Businessを使えないというわけではない。ただ余計な手間が掛かることになりかねず、サポートは提供しないということだ。
Skype for Business Serverは従来とは異なる新しい形のUCソリューションを提供する。数千ユーザー規模の導入をサポートすることで、Skype for BusinessはUCサービスの全く新しい世界的な標準を打ち立てつつある。既にSkypeを使用している企業であれば、ユーザーは恐らくSkype for Businessもすぐに受け入れるだろう。学習時間も確実に最小限で済むはずだ。
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