5GHz帯がメリットばかりとは限らない
IoT時代に輝きを取り戻す「2.4GHz無線帯」、世界中で使えて安価
2020年までにIoT(モノのインターネット)市場は爆発的に拡大するだろう。このIoT時代のWi-Fiにふさわしい周波数帯は、実は2.4GHz帯だ。そう結論付ける幾つかの理由がある。
従来の2.4GHz無線帯よりも5GHz帯が優れていることを褒めたたえる記事は増える一方だ。アップグレード中毒の傾向が強まっている世界で、それは不思議なことではない。だが、状況を完全に把握することなく、より高い帯域に飛び付くのは賢明でない。
業界が提供を迫られている最新かつ最強のアップグレードよりも、「時代遅れ」と見なされるテクノロジーの方がメリットを秘めていることが多い。つまり、2.4GHz帯を時代遅れのネットワークだと完全に見放す前に、5GHz帯称賛の裏にあるものや現在のネットワークにとどまることが最適かもしれない理由について詳しく知る価値はある。
爆発的な無線の拡大
無線環境が驚くほど広く普及しているのは、どの職場を見ても一目瞭然だ。組み込みのワイヤレス通信によってインターネットに接続するモノやデバイスは増加の一途をたどっている。事実、Cisco Systemsの調査によると、2015年にはモバイル接続とモバイルデバイスが5億台以上も増加したという。
想像のように、この傾向は継続すると業界のアナリストは予想している。Gartnerの予測によると、2020年までにIoT(モノのインターネット)市場は爆発的に拡大し、接続型デバイスは約210億台にも到達する勢いだという。
このような状況では、Wi-Fiにふさわしいのが2.4GHz帯になる。どの国も、この帯域に向けて設計された接続に基づいて標準を確立しているからだ。だが、この現実に反して、2.4GHz帯はさまざまな理由からいわれのない悪評を受けている。
まず、インターネットに接続するデバイスが増加し、帯域も史上類を見ないほど使用されるようになっているため、混雑や干渉が発生する可能性が高くなっているというのが理由の1つだ。これは、人が少しずつ増えて、話し声もどんどん大きくなる部屋で会話が不可能になるまで話をしようと試みている状態である。
2.4GHz帯に反対しているのは従来の「大きいことはいいことだ」という価値観に賛同している人たちだ。データを必要とするデバイスはストリーミング、ソーシャルメディア、エンターテインメントをさらに求めている。その結果、無線需要がずっと少なかった環境は過密状態に感じられるようになっている。
2Gよりも3Gを推す携帯電話会社と同じように、消費者向け無線通信会社は「より大きなもの」を勧めるのが最適だと考えている。
2.4GHz帯が適切な場合とその理由
これらの実際的な問題は特定の状況では意味を成すが、不要なものと一緒に大事なものも捨ててしまわないようにすることが重要だ。今日のテクノロジー界はグローバルに通信できる能力を中心に展開している。2.4GHz帯は、この世界において唯一かつ明らかに最も普及しているISM(Industry Science Medical)バンドの1つだ。
つまり企業は、地球上のほぼ全ての国についてテクノロジー戦略を立てられるので、開発コストは安く、ハードウェアの互換性は高く保つことができる。つまり、高周波数の信号とは異なり2.4GHz帯はどこでも機能する。そして、2.4GHz帯は免許不要で無償のスペクトルなので、テクノロジー企業は広範囲に使用できるという大きなメリットが得られる。
ブロードバンド関連の情報を提供するWebサイト『SpeedGuide.net』では、高周波数のワイヤレス信号の範囲は狭いことが指摘されている。つまり2.4GHzネットワークの帯域幅は、5GHzネットワークよりも広範囲をカバーし、5GHzネットワークよりも立体障害物を透過する。だが、2.4GHz帯域において最も混雑していない部分を特定できる堅牢なテクノロジーを使うことは重要だ。
自分が2.4GHzと5GHzのどちら派になるのか考えあぐねている読者のために、今でも2.4GHz帯が最適と思われる状況を以下に3つ紹介する。
グローバル展開
2.4GHz帯の普及率が高いため、企業は世界のどこでも使用可能なデバイスを構築できる。別の周波数を使用するテクノロジーは、国によって異なるハードウェア制限や規制に対処しなければならない。
コスト効率
IoTが普及していて、数十億もの通信接続であふれかえっている世界では、多くのデバイスが何らかの役割を持っている。それらはスマートフォンやスマートウォッチ、コネクテッドカーであるとは限らない。トウモロコシ畑の真ん中にあるセンサーだったり、都市のビル群の中にある大気質モニターだったりする。このような状況では、2.4GHz帯で安価にデバイスに接続できることは重要だ。
大容量
ISMバンドにおける他の狭帯域テクノロジーは、データレートが低い。テクノロジー企業が数千台または数百万台のデバイスを接続しようとする場合、2.4GHz帯を採用すれば大多数のIoTアプリケーションに十分なネットワーク容量を提供できる。場合によっては、2.4GHz帯と900MHz帯以内のテクノロジーを比較したとき、対応デバイスの割合は2.4GHz帯を使用するテクノロジーに大きく偏ることがある。
帯域幅に関する議論に魅了されて「大きいことはいいことだ」と考えたくなるかもしれないが、2.4GHz帯を時代遅れのものとして見限る前に、本当のニーズについて見極めることが重要だ。
2.4GHz無線域は、世界中で無償で使えるばかりか、5GHzよりも大きな帯域を提供する。つまり、このスペクトルを使い続けることが最も理にかなっている理由は多数ある。だが、それは適切な使い方をわきまえることが条件となるだろう。
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