「NVMe SSD」が高速ストレージの主流に、注目ベンダーはどう動く?「この勝負は見ものだ」

Tier 0は「高速」で「プロプライエタリ」だったが、「NVMe」(Nonvolatile Memory Express)が今後の主流となり、この2つ目の形容詞を変えようとしている。NVMeはPCIe SSDの標準プログラミングインタフェースだ。

2017年05月12日 12時00分 公開
[Howard MarksTechTarget]
ストレージデバイスのNVMe対応が急速に進んでいる。これまでと異なる技術に対応できるベンダーはどこか

 私は超高性能ストレージビジネスに興味を持っている。1980年代にデジタル特殊効果システムを高速化するために、固定ヘッド型磁気ディスクドライブを使って以来ずっとだ。裕福な顧客が価値の高い問題を迅速に解決するのに役立つ技術には、常に需要がある。

 DRAM SSDが固定ヘッド型磁気ディスクに取って代わって以来、Tier 0ストレージは高速かつプロプライエタリで、その機能は極めて高速なデータの保存やアクセスにほぼ限られていた。

 だが、新世代のTier 0ストレージに使われる技術である「NVMe」(Nonvolatile Memory Express)プロトコルによって、それが変わろうとしている。

 前世代のTier 0ストレージでは、ベンダーはFlash Translation Layer(FTL:フラッシュ変換レイヤー)で独自の工夫を凝らす必要があった。Violin Memory、Fusion-io(現SanDisk)、Texas Memory Systems(TMS、現IBM)はFPGAやASICを開発し、フラッシュでHDDをエミュレートしなければならなかった。

 FTLがSSDでコモディティ化された後、Pure StorageやSolidFire(現NetApp)のようなベンダーはソフトウェアに注力した。ソフトウェアの開発ペースの速さを生かし、こうしたベンダーはエンタープライズ機能セットと、潜在顧客の90%を満足させることが可能なパフォーマンスを併せ持つ製品を実現した。Tier 1ストレージシステムは、数十万IOPSや1ミリ秒未満のレイテンシというパフォーマンスを期待されるようになった。

 だが、Tier 0とTier 1にはまだパフォーマンスの差があったものの、ユーザーは、スナップショットやデータ重複排除といった機能がないTier 0ストレージに飽き足りなくなった。こうした動向を背景に、Violinは経営破綻を余儀なくされ、TMSはIBMの傘下に入った。IBMは独自のFTLとアレイソフトウェアをうまく組み合わせた製品を提供している。

 現在、高いパフォーマンスが要求される分野では、NVMe製品が主流になろうとしている。NVMeは、PCIe(PCI Express)SSDの標準プログラミングインタフェースだ。大手コンポーネントベンダーは、次の大きな波としてNVMeを推進している。ノートPCのM.2スロット対応デバイスや、アドインカード、U.2スロット対応のホットスワッパブルドライブなどが、次世代ストレージシステムとしてラインアップされている。

次のステップはネットワーキング

 次のフェーズでは、こうした低レイテンシのNVMe SSDが共有されるようになるだろう。ここ1〜2年にApeiron Data Systems、Mangstor、E8 Storage、Exceleroといった新興企業が登場している。これらのベンダーは、ネットワーク経由で機能するNVMeをベースにした製品を開発している。そのIOPSは数十万、レイテンシは1〜200マイクロ秒だ。これらは共有ストレージだが、ViolinやTMSの製品のように、データサービスはあまり充実していない。

 こうした製品が市場に投入されるとともに、「NVMe over Fabrics」(NVMe-oF)規格も登場してきた。NVMe-oFは、低レイテンシの「Remote Direct Memory Access」(RDMA)ネットワークを介してNVMeのコマンドセットを拡張する。RDMAネットワークには、「InfiniBand、RDMA over Converged Ethernet」(RoCE)を使用する100ギガビットイーサネット、「Internet Wide Area RDMA Protocol」(iWARP)などの方式がある。Intelは低オーバーヘッドのNVMe-oFドライバを開発し、Storage Performance Development Kitに含めている。

 こうしたコモディティ化に伴い、新興のTier 0ストレージベンダーにとっては、かつてのViolinやTMSの場合よりもさらにチャンスが狭まりそうだ。

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