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遠隔診療の診療報酬増額か 普及すればこれだけある、医療機関と患者のメリット
「遠隔診療を2018年の診療報酬改定で評価する」旨の首相発言から、診療報酬増額が実現し、遠隔診療の普及を後押しするのではと期待が集まっています。この動向は医療界にどのような変化をもたらすでしょうか。
2015年8月の厚生労働省通知により、実質解禁となった遠隔診療。安倍晋三首相は2017年4月14日開催の第7回未来投資会議において「次の診療報酬改定(2018年)に遠隔診療をしっかり評価する」旨の発言をしており、その評価の行方に注目が集まっています。今回は遠隔診療の本格的な評価がもたらす、医療界の変化について考えてみます。
遠隔診療の実質解禁
従来の通知ではへき地での限定的な利用しか認めていないのではないかと誤解があったため利用が進んでいなかった「遠隔診療」を、誤解を改めるために2015年に厚生労働省より通知が発出されました。医療界においては従来の「対面診療の原則」が一部緩和され、新たな診療スタイルが生まれるのではないかと期待が集まったことで、多くの企業が遠隔診療分野に参入しています。
| 運営企業 | サービス名(リンク先はサービス紹介ページ) |
|---|---|
| オプティム、MRT | ポケットドクター |
| 情報医療(MICIN) | curon(クロン) |
| メドレー | CLINICS |
| Mediplat | first call |
| インテグリティ・ヘルスケア | YaDoc |
| ポート | オンラインクリニック |
| シェアメディカル | メディライン |
| アイソル | リモートドクター |
遠隔診療の診療報酬評価に期待集まる
2016年12月7日開催の未来投資会議「構造改革徹底推進会合」では、遠隔診療のエビデンス(科学的根拠)を収集し、診療報酬上の対応を2018年度改定で検討する方針を表明しています。同年11月10日の同会議では、診療報酬における遠隔診療の評価を対面診療と同等にすることを求める意見が上がり、安倍晋三首相も「遠隔診療を進め、質の高い医療を実現していく」と言及しています。これをきっかけに、2018年診療報酬改定で遠隔診療が評価されるということが、あたかも既定路線のようになっています。
そこで遠隔診療の評価が医療界にどんな変化をもたらすかを筆者なりに予測してみます。
遠隔診療とは
遠隔診療はオンライン診療とも呼ばれ、対面診療ではなくテレビ会議システムなどを活用して、患者が家や職場にいながらにして医師の診察を受けられるスタイルのことを表しています。現在利用可能な多くの遠隔診療システムが、予約機能とテレビ会議機能、決済機能を組み合わせて提供しています。
患者のメリット
患者側のメリットとしては、次のようなものが挙げられます。
- 「時間」の制約への対処
- 待ち時間なく受診できる
- 予約さえすれば、好きな時間に受診できる
- 「距離」の制約への対処
- 家や職場にいながらにして受診できる
- 遠く離れた医療機関でも、一度受診していれば、直接出向くことなく受診できる
- クレジットカードで会計処理ができ、振り込みや支払いのために金融機関に行かなくてもいい
- 自宅にいながらにして処方箋が入手できる
このように、IT化によって患者が「時間」や「距離」の制約を受けないようにすることが可能で、患者に高い利便性をもたらします。
医療機関のメリット
医療機関のメリットとしては、次のようなものが挙げられます。
- 待ち時間の緩和につながる(時間)
- 診療圏が拡大する(距離)
- 慢性疾患の患者の継続受診につながる
- 患者の満足度が向上すれば「集患」につながる
医療機関側のメリットは患者側に比べると弱いように感じます。診療報酬で高い評価がない現時点では、「患者のために遠隔診療を始める」という考えが一般的でしょう。しかしながら、遠隔診療が2018年度の診療報酬改定で評価されれば、売り上げ面でのメリットも享受できるようになるため、その動向に期待が集まっています。
遠隔診療の普及の先に見えるもの
今後、遠隔診療が普及することで、以下のような医療界への変化がもたらされるのではないかと考えられます(図1)。
- 外来、在宅、入院を補完する新たな診療スタイルとして定着する
- 遠隔診療という選択肢の有無が患者の医療機関選別につながる
- 「電子処方箋」と組み合わせることで完全な遠隔診療が完成する
- 「電子お薬手帳」と組み合わせて効率的な処方薬提供が実現できる(オンライン服薬指導が始まる)
- 血圧計や脈拍計のような在宅検査機器と組み合わせてリアルタイムの生体情報モニタリングをし、そのデータを遠隔診療に組み合わせることで、医療の質の向上に貢献する
- 処方薬の配達サービスが普及する(他業界からの参入が始まる)
- 遠隔診療をきっかけにクレジットカード決済が医療機関に普及する
次回は、「医療機関の“IT武装”による集患効果」について考えてみます。
著者紹介
大西大輔(おおにし・だいすけ)MICTコンサルティング
一橋大学大学院MBAコース修了。医療コンサルティング大手に入社。2002年に医療IT機器の常設展示場「MEDiPlaza」を立ち上げ、企画運営、スタッフ指導、拠点管理などを担当。2016年10月に医療ICT専門コンサルタントとして独立し、MICTコンサルティングを設立。医療機関向けシステムの開発アドバイス、導入アドバイス、医療IT人材の育成などを行う。過去2000件を超える医療機関へのシステム導入の実績から、公的団体を中心に講演を多数実施している。
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