フラッシュ vs. HDDではなくハイブリッドストレージが答え その技術と製品はハイブリッドストレージのベストバイ

フラッシュとHDDの両方を搭載したハイブリッドストレージアレイは、パフォーマンスの点でオールフラッシュストレージやオールHDDを上回る利点があり、今日の組織の多種多様なワークロード要求に対処できる。

2018年01月24日 05時00分 公開
[Logan G. HarbaughTechTarget]

 フラッシュベースのストレージとHDDベースのハイブリッドストレージアレイは、価格とパフォーマンスの点で、オールフラッシュストレージとHDDだけで構成したストレージとのバランスを取っている。つまりフラッシュの速度を実現しながら、SSDをフル装備するほどのコストはかからない。管理の点では、オールフラッシュアレイやオールHDDよりも複雑になるが、その柔軟性と低コストの点から検討する価値がある。価格は1GB当たり数十円から数百円、パフォーマンスも1秒当たり数百MBから数百GBとさまざまだ。

 大半の企業には、パフォーマンス要件の異なる多種多様なストレージワークロードがある。リアルタイムオンライントランザクション処理など、一定の高負荷を伴い、高いパフォーマンスが求められるワークロードもあれば、仮想デスクトップインフラ(VDI)やサーバ仮想化など一時的に高負荷が求められるワークロード、ユーザーのホームディレクトリのように比較的低パフォーマンスのワークロードもある。

 ストレージアレイをフラッシュとハイブリッドに分けてしまいたくなるが、それぞれのカテゴリーはさらに細分化できる。例えばフラッシュには少なくとも3種類あり、パフォーマンスの高い順にメモリバス、NVMe(NVM Express)バス、SATA/SASバスがある。ベンダーによっては、この上位にDRAMベースのストレージコンポーネントを追加する場合もある。

 ストレージベンダーが通常使用するHDDの速度には、15,000RPM、10,000RPM、7,200RPMの3種類がある。それぞれにSASバージョンとSATAバージョンがある。その上、基本モデルのパフォーマンス向上を目的としてフラッシュを統合するHDDや、大量のキャッシュメモリを備えるHDDもある。

 大半のハイブリッドストレージは、さまざまなワークロードに最適なパフォーマンスを提供するために、2層以上のストレージを使用する。フラッシュを搭載しないHDDだけのシステムでも、要求の速度を上げるため、通常比較的大容量のRAMをストレージコントローラーに内蔵している。ただ、多くのHDDシステムがフラッシュを統合するようになっている。一部の低コストなNASシステムでさえ、標準装備のHDDに加えてフラッシュドライブを追加するオプションがある。

 特定のパーティションの階層と設定は、IOPS、スケーラビリティ、回復性、消費電力の全てに影響する可能性がある。例えば、バックアップサイトやクラウドでは、ボリュームやパーティションをローカルに複製するように構成できる。

 SSDには、優れたスループットやIOPSなど、パフォーマンス上の明らかなメリットがあるが、あまり明らかではないメリットもある。例えばアイドル時の消費電力が低く抑えられるだけでなく、アイドル状態からアクティブに数マイクロ秒以内に復帰できる。これに対し、休止状態のHDDの場合、休止状態モードからアクティブに戻るまでに数秒間かかる可能性がある。

 ストレージ管理ソフトウェアは、メーカーによって呼び名が異なり、ストレージ仮想化、自動ティアリング、自動データ移行と呼ばれることもある。呼び名はともかくいずれのソフトウェアも、仮想ボリュームや仮想パーティションを作成して、フラッシュやHDDなどの各層の容量と種類を変えられるようになっている。高いパフォーマンスと低いレイテンシを必要とするリアルタイムアプリケーションには常にフラッシュを利用するパーティションを提供したり、常にNVMeを利用するパーティションを提供したりすることも可能だ。また、アーカイブアプリケーションには、全てHDDを利用するパーティションを提供することもできる。あるいは、ストレージ管理ソフトウェアにデータの配置を任せ、リアルタイム分析、オンライントランザクション処理、VDI、サーバ仮想化などの用途に合わせて各種アプリケーションに最適なパフォーマンスを提供することも可能だ。

 ストレージアレイによっては、テープ、クラウドストレージゲートウェイ、オフラインストレージ(RDXや光学式ドライブのようなリムーバブルメディアなど)に接続して、さまざまなアプリケーションに合うように、パフォーマンスとコストの範囲を広げることも可能だ。例えば、アーカイブアプリケーションなら、クラウドサービスのコールドストレージを利用したり、複数のデータセンターにあるオブジェクトストレージへのゲートウェイとして機能させたりすることができる。

低コストでパフォーマンスを高めるハイブリッドストレージアレイ

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

IOPSが5倍に向上&コストも80%削減、エクシングが選んだ大容量ストレージとは

カラオケ業界が直面するデータ増に対応すべく多くのストレージを試し続けた結果、4社27台の製品のメンテナンスに悩まされていたエクシング。この問題を解消すべく、同社は大容量かつコスト削減効果に優れた、新たなストレージを導入した。

製品資料 プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

データソート性能向上でここまで変わる、メインフレームのシステム効率アップ術

メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

従来ストレージの約8倍の容量を確保、エルテックスが採用したストレージとは

ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

空冷だけではなぜ不十分? データセンターの熱負荷対策をどうする

CPUやGPUの性能向上に伴い、データセンターでは今、発熱量の増加にどう対応するかが課題となっている。特に高密度なサーバ環境では、従来のファンやヒートシンクに頼るだけでは熱管理が難しい。こうした中、企業が採用すべき手段とは?

製品資料 Dropbox Japan株式会社

ファイルサーバをアウトソーシング、「クラウドストレージサービス」の実力

中堅・中小企業の中には、IT担当者が社内に1~3人しかいないという企業も少なくない。そのような状況でも幅広い業務に対応しなければならないIT担当者の負担を減らす上では、ファイルサーバをアウトソーシングすることも有効だ。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

フラッシュ vs. HDDではなくハイブリッドストレージが答え その技術と製品は:ハイブリッドストレージのベストバイ - TechTargetジャパン サーバ&ストレージ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

TechTarget郢ァ�ク郢晢ス」郢昜サ」ホヲ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...