フラッシュとHDDの両方を搭載したハイブリッドストレージアレイは、パフォーマンスの点でオールフラッシュストレージやオールHDDを上回る利点があり、今日の組織の多種多様なワークロード要求に対処できる。
フラッシュベースのストレージとHDDベースのハイブリッドストレージアレイは、価格とパフォーマンスの点で、オールフラッシュストレージとHDDだけで構成したストレージとのバランスを取っている。つまりフラッシュの速度を実現しながら、SSDをフル装備するほどのコストはかからない。管理の点では、オールフラッシュアレイやオールHDDよりも複雑になるが、その柔軟性と低コストの点から検討する価値がある。価格は1GB当たり数十円から数百円、パフォーマンスも1秒当たり数百MBから数百GBとさまざまだ。
大半の企業には、パフォーマンス要件の異なる多種多様なストレージワークロードがある。リアルタイムオンライントランザクション処理など、一定の高負荷を伴い、高いパフォーマンスが求められるワークロードもあれば、仮想デスクトップインフラ(VDI)やサーバ仮想化など一時的に高負荷が求められるワークロード、ユーザーのホームディレクトリのように比較的低パフォーマンスのワークロードもある。
ストレージアレイをフラッシュとハイブリッドに分けてしまいたくなるが、それぞれのカテゴリーはさらに細分化できる。例えばフラッシュには少なくとも3種類あり、パフォーマンスの高い順にメモリバス、NVMe(NVM Express)バス、SATA/SASバスがある。ベンダーによっては、この上位にDRAMベースのストレージコンポーネントを追加する場合もある。
ストレージベンダーが通常使用するHDDの速度には、15,000RPM、10,000RPM、7,200RPMの3種類がある。それぞれにSASバージョンとSATAバージョンがある。その上、基本モデルのパフォーマンス向上を目的としてフラッシュを統合するHDDや、大量のキャッシュメモリを備えるHDDもある。
大半のハイブリッドストレージは、さまざまなワークロードに最適なパフォーマンスを提供するために、2層以上のストレージを使用する。フラッシュを搭載しないHDDだけのシステムでも、要求の速度を上げるため、通常比較的大容量のRAMをストレージコントローラーに内蔵している。ただ、多くのHDDシステムがフラッシュを統合するようになっている。一部の低コストなNASシステムでさえ、標準装備のHDDに加えてフラッシュドライブを追加するオプションがある。
特定のパーティションの階層と設定は、IOPS、スケーラビリティ、回復性、消費電力の全てに影響する可能性がある。例えば、バックアップサイトやクラウドでは、ボリュームやパーティションをローカルに複製するように構成できる。
SSDには、優れたスループットやIOPSなど、パフォーマンス上の明らかなメリットがあるが、あまり明らかではないメリットもある。例えばアイドル時の消費電力が低く抑えられるだけでなく、アイドル状態からアクティブに数マイクロ秒以内に復帰できる。これに対し、休止状態のHDDの場合、休止状態モードからアクティブに戻るまでに数秒間かかる可能性がある。
ストレージ管理ソフトウェアは、メーカーによって呼び名が異なり、ストレージ仮想化、自動ティアリング、自動データ移行と呼ばれることもある。呼び名はともかくいずれのソフトウェアも、仮想ボリュームや仮想パーティションを作成して、フラッシュやHDDなどの各層の容量と種類を変えられるようになっている。高いパフォーマンスと低いレイテンシを必要とするリアルタイムアプリケーションには常にフラッシュを利用するパーティションを提供したり、常にNVMeを利用するパーティションを提供したりすることも可能だ。また、アーカイブアプリケーションには、全てHDDを利用するパーティションを提供することもできる。あるいは、ストレージ管理ソフトウェアにデータの配置を任せ、リアルタイム分析、オンライントランザクション処理、VDI、サーバ仮想化などの用途に合わせて各種アプリケーションに最適なパフォーマンスを提供することも可能だ。
ストレージアレイによっては、テープ、クラウドストレージゲートウェイ、オフラインストレージ(RDXや光学式ドライブのようなリムーバブルメディアなど)に接続して、さまざまなアプリケーションに合うように、パフォーマンスとコストの範囲を広げることも可能だ。例えば、アーカイブアプリケーションなら、クラウドサービスのコールドストレージを利用したり、複数のデータセンターにあるオブジェクトストレージへのゲートウェイとして機能させたりすることができる。
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