世間を騒がせている文書改ざんへの対策として、ブロックチェーン技術を活用できる可能性がある。ブロックチェーン技術を活用したさまざまな実証実験や、「文書改ざん防止システム」の作り方を紹介する。
森友学園の国有地売却に関する公文書改ざん問題や神戸製鋼における検査偽装といった不祥事が世間を騒がせている。こうした不正行為の対策として「ブロックチェーン技術」(注)を活用できるのではないか――。ブロックチェーン推進協会(BCCC)が2018年3月22日に開催した「第12回金融部会」では、ブロックチェーン技術の活用例や文書偽装防止策について紹介した。
※注:ブロックチェーン技術とは、ネットワークに接続された複数のノードで、取引データの集合体である「ブロック」と、ユニークな値である「ハッシュ値」を分散保持する技術のこと。分散型台帳技術とも呼ばれる。中央集権的な管理者がおらず、ブロックチェーンの参加者同士が監視し合う体制を取る。取引履歴が参加者に公開されることから、情報の改ざんがしにくいといわれている。
「北海道をブロックチェーン技術の集積地とする」ことを目標に掲げ、ブロックチェーン技術に精通したITエンジニアの育成やブロックチェーン技術を活用した実証実験に取り組むINDETAIL。現在、同社には「ブロックチェーンで何かをしたい」といった相談や、実証実験(PoC)への協力依頼が増加傾向にある。代表取締役の坪井大輔氏は本講演で、「ビジネスのアイデアを作るところからお客さんと一緒に取り組むケースが増えている」と話した。
坪井氏によれば、ブロックチェーン技術の活用の仕方は、プログラムに基づいて契約や取引を自動的に実行する「スマートコントラクト」、価値を定量化するための「トークン」、これらを融合した「スマートコントラクト+トークン」の3パターンに分類できるという。同氏は講演で、この3パターンに基づいて3つのPoCを紹介した。
1つ目は、調剤薬局で販売する薬剤の在庫をブロックチェーン技術で管理するPoCだ。ジェネリック医薬品(後発医薬品)の普及もあり、調剤薬局で扱う薬剤の種類が増え、在庫を抱えた店舗が消費期限を迎えて破棄せざるを得ない状況に陥るケースが珍しくなくなっている。調剤薬局では一般的に、薬剤を箱単位で購入し単品で売る。種類が増すと売れ残りが増え、このことが調剤薬局で経営課題になっているという。坪井氏は「大手チェーンは店舗間で在庫の融通が利くが、個人経営の店舗ではそれが難しい」と述べる。国内には個人経営の調剤薬局が少なくないことも、問題が広がりやすい一因となっている。INDETAILは、この問題をブロックチェーンで解決できないかと考えPoCを開始した。
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