「損して得取れ」――。Googleが「Google Cloud Platform」で示した新たな戦略は、そんな古い格言を想起させる。
複数のクラウドサービスを併用するマルチクラウドが広がる中、Googleが打ち出した新たな戦略の意図は、直観的には分かりにくい。それは他社のクラウドサービスへの出口を増やし、その結果として、より多くのユーザー企業を自社のクラウドサービスに誘い込もうとするものだ。
Googleは最近実施した、クラウドサービス群「Google Cloud Platform」(GCP)のアップデートで、移植性を高める3つの変更を加えた。
3つの変更の中で、すぐに影響をもたらす可能性が最も高いのはCloud Composerだ。オープンソースのワークフロー作成・管理ソフトウェア「Apache Airflow」のマネージドサービスであり、今回β版になった。
Cloud Composerと連携できるサービスは、以下の通りだ。Googleはこの他、リレーショナルデータベースサービスの「Cloud Spanner」や大容量データ解析向けNoSQLデータベースサービスの「Cloud Bigtable」など、他のGCPサービスとの連携も検討している。
Cloud Composerの門戸を閉ざすつもりはないと、Googleは説明する。つまりユーザー企業は、Cloud Composerの連携先を他のクラウドサービスにまで拡張できることになる。同社はAirflowコミュニティーに大きく貢献する意向を示している。
GoogleはCloud Composerをベンダーロックインからの解放につながるツールとして売り込むことができる。「オープンソースコミュニティーは分析とビッグデータの推進者であり、特に魅力を感じるはずだ」。そう話すのは、IT調査会社Enterprise Strategy Groupのアナリスト、マイク・レオン氏だ。
オープンソースの側面と、異なるクラウドサービスとの間でデータをやりとりできる機能は「Cloud Composerの大きな差異化要因になり、競合との違いを間違いなく際立たせる」とレオン氏は語る。
Googleのこうした取り組みは、一見すると自社の利益を優先していないように見えるが、実はそうではない。
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