イベント駆動型のアプローチに注意
メインフレームにもサーバレス? その効果と注意点
サーバレステクノロジーはアプリケーションを近代化させる選択肢として登場した。だが、どのようなときでも最適というわけではない。
Red Hatでプロジェクト管理のシニアディレクターを務めるリッチ・シャープルズ氏は、メインフレームを含むアプリケーションの近代化について、サーバレステクノロジー(以下、サーバレス)を使用できないか、と問い合わせを受けるようになった。そのため、このテーマに目を向けざるを得なくなっている。
同氏はサンフランシスコで開催された「Red Hat Summit 2018」で次のように話した。「顧客はサーバレスの新しい用途を模索しているだけでなく、サーバレスを従来の複雑なプロセスを回避する方法だと考えている」
メインフレームから4~5世代の間のテクノロジーを飛ばして、すぐにサーバレスを利用するという考えは、2つのことを示しているとシャープルズ氏は話す。1つは近代化が喫緊(きっきん)の課題であること。もう1つはサーバレスのユーザーが伝統主義者(古い習慣を重視し、新しい習慣を否定する人)ではないことだ。
同氏は「サーバレスはレガシーアプリの最新化に効果があるが、開発者は注意して進める必要がある」と述べる。
アプリの近代化におけるサーバレスのユースケース
マイクロサービスもアプリケーションの近代化に有効だ。具体的にはアプリケーションに新しいモバイルフロントエンドが必要になる場合、モノリシック(1つの塊)なアプリケーションの一部を他の機能よりも迅速に近代化する必要がある場合だ。実はサーバレスの関数も同じ用途に利用できる。
「モノリシックアプリケーションを部品(コンポーネント)に分割し、その一部をサーバレスにオフロードする(肩代わりさせる)ことには意味がある」(シャープルズ氏)
サーバレス用にイベント駆動型の関数に分解するのは簡単だと同氏は語る。コードを効率よく開発、スケーリング(拡張)、実行できるためだ。関数がサーバレスに適さなければ、コンテナ化したマイクロサービスにオフロードする選択肢もある。
レガシーアプリ近代化におけるサーバレスのもう1つの用途は、関数を既存のアプリケーションに適応することだ。例えば、サーバレスの関数を使用して、業界別に請求システムをカスタマイズできると同氏は話す。
ただし、シャープルズ氏はサーバレスを利用して企業のレガシーアプリケーションを作り直すことは推奨していない。サーバレスが実際に効果を発揮する機会を探すべきだという。
サーバレスの性質についてのアドバイス
シャープルズ氏はメインフレームの最新化など、サーバレスに関する問い合わせが増えていることを聞いて、別の考え方があることに気付いた。
「サーバレスの開発と導入はプロセスをシンプルにする手段だ。そのため、経験の少ない開発者の多くを魅了している」と同氏は話す。経験の少ない開発者は、物事をごく簡単に済ませようとする傾向があると同氏は続ける。そのため、こうした開発者はサーバレス関数の容易さと迅速な導入に魅力を感じている。
シャープルズ氏はこの種のユーザーを念頭に置いて、開発チームが導入前に考慮すべきサーバレスの重要な特性についてアドバイスをした。チームは、サーバレス関数の呼び出しがステートレスであることを念頭に置くべきだ。サーバレスがサポートするのは、外部からの刺激に反応して何らかのアクションを実行するイベント駆動型のモデルのみである。イベント駆動型のアーキテクチャに慣れていない開発者にはサーバレスはむしろハードルが高く、ある特定の問題の解決方法については異なる考え方が必要になる。同氏はこうしたことを指摘している。
シャープルズ氏によれば、サーバレステクノロジーはコンピューティング環境の中で孤立した存在ではないという。従来のアプリケーションやサービスと共存するハイブリッド環境に導入される可能性が高い。そのため、サーバレスを含め、さまざまなモデルやプログラミングスタイルをサポートする運用環境(クラウド基盤など)を選ぶことが重要になる。
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