Yotascale、Software WORXなどが提供する現行のツールも紹介
人工知能(AI)を組み込んだ「クラウドコスト管理ツール」は何ができるのか?
クラウドコストの最適化は複雑で、難しい問題だ。この問題をAI技術で解決しようという動きが出ている。AI技術を組み込んだ「クラウドコスト管理ツール」がそれだ。メリットと動向を説明する。
クラウドコスト管理の課題は、簡単には解決できそうにない。企業はコスト削減のために、従業員にコスト効率の良いクラウドサービスの利用法を徹底させたり、自社の用途にもっと適したクラウドサービスを探したり、クラウドモニタリングツールやクラウドコスト管理ツールを活用したりすることができる。だがそうした取り組みをしたとしても、利用するクラウドサービスを増やす中で、依然としてコスト最適化が大きな課題として残る。
そこでユーザー企業やITベンダーは、クラウドサービスでもっときめ細かいコントロールや掘り下げた異常分析、高度なアラート管理を実現する手段として、機械学習をはじめとした人工知能(AI)技術の可能性に目を向けるようになった。
AI×クラウドコスト管理ツールが可能にすること
クラウドコスト管理ツールへのAI技術の活用はまだ進化の途上にあるが、幾つかの実例が浮上し始めている。Amazon Web Services(AWS)の同名クラウドサービス群を対象としたクラウドコスト管理ツールを提供するYotascaleは、クラウドで管理するシステムやデータを調査し、出費の増大とその原因を洗い出すサービスの一部に機械学習を利用する。機械学習は、異常検知の性能を向上させ、クラウドコスト管理ツールの正確性を高める目的で使われる。
ユーザー企業はAI技術を組み込んだクラウドコスト管理ツールを使うことで、請求額におけるコストの異常を早期に検出できる。例えばクラウドサービスを一時的に設定変更したときに、会社に対する請求額を増大させるリスクが大きくなった場合、管理者がアラートを受信できる。
AI技術を使ったクラウドコスト管理ツールは、パフォーマンスとコンプライアンス、コストの同時最適化を可能にする、リアルタイムのアプリケーションリソース管理にも利用できる。クラウドコスト管理ツールの分析結果はクラウドを利用する部門で共有でき、他の関係者が表示やレポートを参照することも可能だ。
AI技術を使ったクラウドコスト管理ツールの具体例
クラウドコスト管理ツールベンダーは、機械学習などのAI技術を自社製品に取り入れ始めている。例えばTurbonomicが提供するAI技術ベースの意思決定エンジンは、クラウドベンダー各社が提供する「リザーブドインスタンス」を継続的に監視できる。リザーブドインスタンスは、事前に長期の利用を確約する代わりに、割引料金で利用可能なインスタンス(仮想マシン)のことだ。Software WORXの「CloudSqueeze」はディープラーニングを使ってクラウドで生成されるデータを分析し、リソースの需要を予測したり、過剰なリソースを検知したりできる。
クラウドコスト管理ツールに備わるAI機能の性能が向上すれば、クラウドサービスのリソース管理がもたらす金銭的な影響をより動的に把握したり、予測分析したりできるようになる。既存のシステムとそこで扱うデータをスキャンして、クラウドサービスの機能一覧と統合し、コスト効率面でもっとふさわしい構成を発見する目的でも利用できる。
AWSとMicrosoft、Googleはまだ、クラウドコスト管理ツールへのAI技術の実装にはあまり深く踏み込んではいない。だがユーザー企業の需要の増大に促される形で、各遅かれ早かれ始めるだろう。
人材を拡張するAI
完全にクラウドコスト最適化を自動化することは簡単ではない。いずれにしてもクラウドコスト最適化のノウハウを社内で構築するに越したことはない。技術者とエンドユーザーである従業員は依然として、クラウドサービスのコストに関する基礎知識を必要とする。
クラウドサービスへの出費で苦労している企業は、過去に見落としていたきめ細かい情報を網羅し、新しい知見を得るためにAI技術を利用できる。企業は、AI技術によって引き出した内容に基づいて、人がリソースやインフラを管理できる体制を確立しなければならない。
豊富なクラウド利用経験を持つ企業にとっても、クラウドサービスのコスト最適化は複雑で、手を焼いている。ワークロードにAI技術が加われば、事態はさらに複雑化しかねない。企業は第一に、ITチームのトレーニングの徹底と、クラウドの利用プロセスの確立を進める必要がある。
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