クラウドコスト管理の課題は、簡単には解決できそうにない。企業はコスト削減のために、従業員にコスト効率の良いクラウドサービスの利用法を徹底させたり、自社の用途にもっと適したクラウドサービスを探したり、クラウドモニタリングツールやクラウドコスト管理ツールを活用したりすることができる。だがそうした取り組みをしたとしても、利用するクラウドサービスを増やす中で、依然としてコスト最適化が大きな課題として残る。
そこでユーザー企業やITベンダーは、クラウドサービスでもっときめ細かいコントロールや掘り下げた異常分析、高度なアラート管理を実現する手段として、機械学習をはじめとした人工知能(AI)技術の可能性に目を向けるようになった。
クラウドコスト管理ツールへのAI技術の活用はまだ進化の途上にあるが、幾つかの実例が浮上し始めている。Amazon Web Services(AWS)の同名クラウドサービス群を対象としたクラウドコスト管理ツールを提供するYotascaleは、クラウドで管理するシステムやデータを調査し、出費の増大とその原因を洗い出すサービスの一部に機械学習を利用する。機械学習は、異常検知の性能を向上させ、クラウドコスト管理ツールの正確性を高める目的で使われる。
ユーザー企業はAI技術を組み込んだクラウドコスト管理ツールを使うことで、請求額におけるコストの異常を早期に検出できる。例えばクラウドサービスを一時的に設定変更したときに、会社に対する請求額を増大させるリスクが大きくなった場合、管理者がアラートを受信できる。
AI技術を使ったクラウドコスト管理ツールは、パフォーマンスとコンプライアンス、コストの同時最適化を可能にする、リアルタイムのアプリケーションリソース管理にも利用できる。クラウドコスト管理ツールの分析結果はクラウドを利用する部門で共有でき、他の関係者が表示やレポートを参照することも可能だ。
ヤフーとLINEの経営統合でコマース・広告はどう変わるのか
新生Zホールディングスの戦略についてコマースと広告に関わるポイントをまとめました。
「ウェルビーイング」がなぜCX(顧客体験)とEX(従業員体験)に重要なのか? Qualtrics調査から考察する
Qualtricsの調査によると、コロナ禍で従業員エンゲージメントが世界でも日本でも向上。従...
動画の重要性 「増している」が85% 動画コンテンツの内製化率は前年比倍増――アライドアーキテクツ調査
アライドアーキテクツが「企業のDX推進における動画活用の実態調査 2021」を実施。デジタ...