フラッシュストレージが普及しても「HDD」が使われ続ける理由「フラッシュストレージ」は2020年にこうなる【後編】

フラッシュストレージの用途が急速に拡大する一方、全てのデータセンターがすぐさまフラッシュストレージを導入するわけではない。HDDにはフラッシュストレージにはない需要がまだ存在するからだ。それは何なのか。

2020年03月10日 08時30分 公開
[Garry KranzTechTarget]

 デバイスの近く(エッジ)でデータを処理する「エッジコンピューティング」による人工知能(AI)システムにも、フラッシュストレージベースのストレージシステム(フラッシュアレイ)の用途が拡大している――。そう指摘するのは、Dell EMCでストレージの最高技術責任者(CTO)を務めるスディール・スリニバサン氏だ。運用がシンプルという理由から、従来のHDDベースのストレージシステムが担っていた用途についても「より多くのユーザー企業がフラッシュアレイに移行している」とスリニバサン氏は語る。

 「大半のバックアップデータは、依然としてHDDベースのストレージシステムに保管されている」とスリニバサン氏は指摘する。ただし分析対象のデータは、これまでHDDベースが主流だった、バックアップやアーカイブ用途のセカンダリーストレージシステムよりも「さらに高いレベルのパフォーマンスが必要になる」と同氏は説明する。

フラッシュストレージがコンバージドインフラの普及に貢献

 フラッシュストレージは垂直統合型インフラ「コンバージドインフラ」の普及に貢献していると語るのは、NetAppでストレージOS「ONTAP」とシステムグループのシニアバイスプレジデントを務めるオクタヴィアン・タナセ氏だ。同社の「FlexPod」は、NetAppのストレージシステム「FAS」シリーズと、Cisco Systemsのサーバ、ネットワーク機器をベースとする。タナセ氏によると、FlexPodの販売の約60%はオールフラッシュアレイ向けだという。

 「オールフラッシュアレイは、データをオブジェクト単位で扱う『オブジェクトストレージシステム』の分野にも進出している」とマクドウェル氏は話す。エッジで生成される非構造化データを分析するためだ。「エッジにとどまるデータも、クラウドで利用されるデータもある。クラウドはオブジェクト中心の世界であり、オールフラッシュアレイはこうした環境に適している」(同氏)

 全ての容量をフラッシュストレージでまかなうストレージシステム「オールフラッシュアレイ」であるPure Storageの「FlashBlade」を導入したDomino's Pizza。データのバックアップと迅速な復旧は「FlashBladeでは想定していなかった用途だ」と、Domino's Pizzaでグローバルインフラとエンタープライズ情報システムのバイスプレジデントを務めるダン・ジュリッチ氏は語る。ジュリッチ氏によると、大規模並列アーキテクチャを持つFlashBladeはDomino's Pizzaにとって、HDDベースのバックアップへの依存を軽減する一助となった。

HDD以外にデータを保管するのは時期尚早との声も

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