「Office 365」などのクラウドサービスの利用拡大に伴い、不動産サービス企業のCushman & Wakefieldは「SD-WAN」でネットワークを再構築した。なぜSD-WANを採用し、どのような成果を得たのか。
企業がクラウドサービスを利用する場合に注意しなければならない点は、ネットワークのトラフィックが増加することだ。各拠点からインターネット向けのトラフィックが特定のデータセンターに集中してボトルネックが発生するケースがある。不動産サービス大手のCushman & Wakefieldも、そうしたネットワークの課題に直面した。同社が解決策として導入した手段が「SD-WAN」(ソフトウェア定義WAN)だ。
SD-WANは業務アプリケーションのクラウド化を進める際、ネットワーク再構築の選択肢の一つになる。Cushman & WakefieldはなぜSD-WANを必要とし、どのような成果を創出したのか。どのような基準で製品選定を進めたのか。
Cushman & WakefieldはM&A(統合・買収)による成長戦略を進め、2015年に同業のDTZと経営統合した。これを経て約70カ国400拠点に事業拠点を持つ体制となり、事業規模は拡大した。ただし、このことがネットワークを複雑にする弊害をもたらした。
例えば経営統合の結果、複数のデータセンターが存在することになった。Cushman & Wakefieldでネットワークやセキュリティ分野のアーキテクトを務めるクリス・ブッチャー氏は「データセンター同士を接続しなければならなかった上、目的のデータセンターに接続するために別のデータセンターを経由しなければならない状況もあった」と説明する。
業務アプリケーションのクラウド化を優先的に進める「クラウドファースト」戦略を採用していたことも、ネットワークに問題を発生させる要因だった。オフィススイート「Office 365」のようなSaaS(Software as a Service)への業務アプリケーションの移行、ユニファイドコミュニケーション製品「Skype for Business」への音声通話の移行などを進めており、トラフィックは増大していた。
従来は各拠点からデータセンターのプロキシサーバを介してインターネットに接続するネットワーク構成だった。トラフィックが増えた結果としてデータセンターがボトルネックになり、SaaSなどのネットワーク経由で利用する業務アプリケーションは、そのままのネットワーク構成では正常な動作を維持することが難しくなっていた。
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