ネットワーク管理に使うユーザーインタフェースとして「CLI」と「GUI」にはそれぞれ利点がある。広く使用されてきたCLIとGUIのどちらをどう使えばいいのか。両者の今を見つつ検討してみよう。
「GUI」(グラフィカルユーザーインタフェース)がコンピュータのユーザーインタフェース(UI)として本格的に使われ始めたのは1980年代だ。ネットワーク管理用のUIとしてもようやく一般的になってきた。
GUIがこれまで、ネットワーク管理者の間で広く使われてこなかったことには幾つか理由がある。
ネットワーク機器のGUIは、ネットワークベンダーにとっての「思い付き」程度のものとして登場した。各ベンダーは従来、それほどGUIを重要視してこなかったため、「CLI」(コマンドラインインタフェース)と比べて機能面で見劣りしていた。CLIがネットワーク機器の設定と管理の方法として定着していたため、GUIはそれを補足する手段にしかならなかった。初期のGUIでできたことは、CLIで可能なルーター、スイッチ、ファイアウォール用の設定機能全体のほんの一部のみだ。
CLIは、GUIよりもはるかに設定作業を高速化させやすいという特徴もある。コマンドを幾つか使用するだけで、ネットワークインタフェース、ルーティングプロトコル、アクセス制御リスト(ACL)などを設定できる。GUIでこれらの項目を設定するには、設定用のページとタブを探して、マウスを何回もクリックして開く必要がある。
スクリプトツールとSSHクライアント(通信プロトコル「Secure Shell」で接続するためのプログラム)を使用し、コピー&ペーストで簡単にコマンドをスクリプト化できることもCLIの特徴だ。複数のネットワーク機器に同じ設定作業を繰り返し実施しなければならない場合、GUIよりCLIを使用する方がはるかに速く作業を済ませることができる。
監視やトラブルシューティングの観点でも、CLIを使用すると必要な情報を迅速に得やすい。例えばネットワークインタフェースの統計データの検索、頻繁に確認する情報を取得するためのスクリプト作成、キーワードまたはパターン検索などがある。CLIによるこれらの方法は、GUIによる作業よりも非常に効率的だ。
CLIには上述のようにさまざまな利点があるが、さまざまなインフラを管理する統合運用管理ツールと併用する場合は、GUIの方が使いやすいこともある。ネットワーク機器の管理用GUIは改良を重ねて広く使われるようになってきたため、CLIによる管理は時代遅れになりつつある。
ネットワーク管理において、GUIがCLIより劣っている点は少なくなってきている。GUIは使いやすさが改善し、設定の変更作業を複数のネットワーク機器にまとめて反映させる機能が充実した。従来ある設定作業の単純さに加えて多機能性の特徴も備えたことで、ネットワーク管理者向けのユーザーエクスペリエンス(UX:ユーザー経験価値)が大きく向上した。
GUIの使いやすさは今後も向上する見通しだ。CLIを使用する場合、設定作業やトラブルシューティングの手順を覚えるには、ある程度の時間がかかる。GUIを使えば同様の作業にかかる学習時間を大幅に短縮できるだろう。
さまざまなネットワークインタフェースやネットワーク機器の正常性を視覚的に確認できることがGUIの強みだ。同じ情報をテキスト形式で表示するCLIと比較して、問題の特定が容易になるメリットもある。
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