Amazon Web Services(AWS)やMicrosoftなどの主要クラウドベンダーは、複数のSaaS(Software as a Service)間でデータを転送し、何らかの処理を実行するためのツールを提供している。その代表格が「SaaS連携ツール」だ。ツールごとに機能が異なるため、自社で利用するインフラや用途を踏まえて選ぶ必要がある。中編「『Logic Apps』『Pub/Sub』――SaaS連携に使えるMicrosoftとGCPの主要ツール」に続く本稿は、SaaS連携ツールの選定ポイントを説明する。
企業はクラウドベンダーのSaaS連携ツールだけでなく、サードパーティーのiPaaS(Integration Platform as a Service)の中から、SaaS連携機能のあるサービスを選ぶことができる。中でも代表的なiPaaSが、Salesforce(salesforce.com)子会社であるMuleSoftの「Anypoint Platform」とJitterbitの「Jitterbit Harmony」だ。
Anypoint Platformは複数のSaaSのコネクターを用意している。IT部門はテンプレートやグラフィックユーザーインタフェース(GUI)を使用して、SaaSの連携方法を設定する。Jitterbit HarmonyはSaaSの連携方法をカスタマイズする機能を備えており、GUIで操作できる。これらのサードパーティー製iPaaSは、機能の豊富さと使いやすさに加え、マルチクラウドやハイブリッドクラウドに適する長所がある。
どのSaaS連携ツールが適しているかは、連携するSaaSとデータの種類によって異なる。自社のアプリケーションをホストしているインフラの種類や、IT部門のスタッフの技術的なスキルにも左右される。
自社がAWSでアプリケーションをホストしている場合は、前編「『Amazon AppFlow』『Amazon EventBridge』の基礎 AWSの2大SaaS連携ツール」で紹介したAWSのSaaS連携ツール「Amazon AppFlow」と「Amazon EventBridge」が適している。これらのツールを使用すると、AWSにデータを転送し、イベントを実行する処理を簡略化できる。ただしこれらのツールが連携対象にできるSaaSの種類は限られており、連携対象のSaaSを増やすことは容易でない。例えばAWSで利用するためのSaaS連携ツールを自前で構築するのは、IT管理者にとって時間と手間のかかる作業になる。
AWS以外のクラウドサービスやマルチクラウド、オンプレミスのインフラでアプリケーションをホストしている場合は、まず中編で紹介したMicrosoftのSaaS連携ツール「Logic Apps」の使用を検討する。Logic AppsはMicrosoft製品と連携するアプリケーションに適した選択肢だ。SaaS連携に関するワークフローを管理する機能を用意しており、標準コネクターの豊富さも採用の決め手になる。
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