「as a Service」主要43種の一覧 あなたは幾つ知っている?AaaSからXaaSまで

クラウドサービスの普及と共に、多様化が進んだ「as a Service」。具体的にはどのようなサービスがあるのか。主要なas a Serviceをアルファベット順に紹介する。

2021年04月01日 05時00分 公開
[上田 奈々絵TechTargetジャパン]

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IaaS | DaaS | PaaS | SaaS


 ハードウェアリソースやソフトウェアの機能を、主にインターネットを通じて利用できるサービスを「as a Service」と呼ぶ。ユーザー企業にとってはハードウェアの調達や管理が不要なことや初期投資を抑えやすいことが、as a Serviceのメリットだ。as a Serviceにはどのような種類があるのか。主要なas a Serviceをアルファベット順に紹介する(会員限定)。

AaaS

Analytics as a Service

 ビッグデータの収集と保存、分析をするためのクラウドサービス。BI(ビジネスインテリジェンス)やデータウェアハウス(DWH)などのクラウドサービスが該当する。Teradataの「Teradata Vantage」やTableau Softwareの「Tableau Online」などがある。

BaaS

Backend as a Service

 モバイルアプリケーションのバックエンドシステムの開発に役立つ機能のクラウドサービス。プッシュ通知機能やユーザー管理機能などを提供する。Googleの「Firebase」が代表例だ。

Banking as a Service

 金融サービスに必要な決済や送金、融資、キャッシュカードの発行などの仕組みを提供するクラウドサービス。ユーザー企業はAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を介して、こうした機能を自社のアプリケーションに組み込むことができる。GMOあおぞらネット銀行の「プラットフォーム銀行」やインフキュリオンの「ウォレットステーション」などがある。

Blockchain as a Service

 ブロックチェーンの作成や運用が可能なクラウドサービス。ブロックチェーンを利用したアプリケーションの開発に役立つ。Amazon Web Services(AWS)の「Amazon Managed Blockchain」やMicrosoftの「Azure Blockchain Service」、IBMの「IBM Blockchain Platform」などが代表例だ。

CaaS

Containers as a Service

 コンテナの構築や運用管理ができるクラウドサービス。コンテナを使ったアプリケーション開発を支援する。コンテナイメージ(コンテナに関するファイル群)を格納するレジストリやコンテナの配備ツールなどをサービスとして提供する。AWSの「Amazon Elastic Container Registry」やMicrosoftの「Container Instances」などがある。

Crimeware as a service

 攻撃者が、フィッシングやランサムウェア(身代金要求型マルウェア)などによる攻撃を実行するために利用するクラウドサービス。ソフトウェア開発の知識を必要としないサービスもあり、攻撃のハードルを下げる恐れがある。

DaaS

Data as a service

 データ品質の向上を中心とするデータマネジメント機能や、データベース管理システムへのデータ配信機能を提供するクラウドサービス。Informaticaの「Informatica Data as a Service」やDelphixの「Delphix DataOps Platform」などがある。

Desktop as a Service

 仮想デスクトップを配信するためのインフラとソフトウェアを合わせて提供するクラウドサービス。Microsoftの「Windows Virtual Desktop」やCitrix Systemsの「Citrix Managed Desktops」などサービスはさまざまだ。

DBaaS

Database as a Service

 データベース管理システムのクラウドサービス。Oracleの「Oracle Database Cloud Service」やIBMの「IBM Cloud Hyper Protect DBaaS」などが挙げられる。

DRaaS

Disaster Recovery as a Service

 災害や障害によるシステム停止を防止したり、停止したシステムを復旧させたりするためのクラウドサービス。IBMの「IBM Cloud Resiliency Orchestration」やAcronisの「Acronis Disaster Recovery Service」などがある。

EaaS

Everything as a Service

 ソフトウェアの機能やハードウェアリソースなどをネットワーク経由で利用できるサービスの総称。

Exploit as a Service

 攻撃者が、脆弱(ぜいじゃく)性を攻撃するためのプログラム「エクスプロイト」を実行するために使うクラウドサービス。Crimeware as a serviceの一種。

FaaS

Fraud as a Service

 攻撃者が、フィッシング詐欺やスパムメールを使ったサイバー犯罪など、詐欺(Fraud)行為を実行するために使うクラウドサービス。

Function as a Service

 特定の条件で決められたコードやアプリケーションを実行するクラウドサービス。Webアプリケーションサーバの存在を前提としない「サーバレスコンピューティング」を実現する。AWSの「AWS Lambda」やGoogleの「Cloud Functions」、Microsoftの「Microsoft Azure Functions」などの「イベント駆動型コード実行サービス」が代表例だ。

GaaS

Games as a Service

 買い切り型ではなく、エンドユーザーの継続的な課金で収益を得るゲームのビジネスモデル。ゲームをクラウドインフラで実行し、ダウンロード不要で遊ぶことができるサブスクリプション形式のクラウドサービスを指すこともある。

GPU as a Service

 GPU(グラフィックス処理プロセッサ)を利用できるクラウドサービス。Infrastructure as a Serviceの一種。機械学習や画像処理を目的としたアプリケーションに適している。AWSやMicrosoft、Googleなどの大手クラウドベンダーは、仮想マシン(VM)サービスのメニューとしてGPU as a Serviceを提供している。

HaaS

Hardware as a Service

 サーバやストレージなどのハードウェアをオンデマンドで提供するクラウドサービス。Infrastructure as a Serviceの一種。Web会議ベンダーのZoom Video Communicationsは、デジタルホワイトボードなどのIT機器を月額制で貸し出すサービスを「Zoom Hardware as a Service」と称して提供している。

IaaS

Infrastructure as a Service

 サーバやストレージ、ネットワークなど、システムを稼働させるためのインフラをオンデマンドで提供するクラウドサービス。AWSやMicrosoft、Googleをはじめ、国内外のベンダーが提供している。

IDaaS

Identity as a service

 ID管理機能のクラウドサービス。一度の認証で複数のアプリケーションにログインできる「シングルサインオン」(SSO)を実現したり、各システムへのアクセス制御を可能にしたりする。Microsoftの「Azure Active Directory」やOktaの「Okta Identity Cloud」などがある。

KaaS

Knowledge as a Service

 各種システムのデータから、付加価値の高い情報を抽出するクラウドサービスおよびその概念。国内では日立製作所が2008年に提唱した。

Kubernetes as a Service

 コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」のマネージドサービス。Containers as a Serviceの一種であり、「マネージドKubernetesサービス」と同義。AWSの「Amazon Elastic Kubernetes Service」(Amazon EKS)やMicrosoftの「Azure Kubernetes Service」、Googleの「Google Kubernetes Engine」(GKE)などがある。

LaaS

Location as a Service

 位置情報データの管理機能や地図機能をアプリケーションに実装するためのクラウドサービス。AWSの「Amazon Location Service」(原稿執筆時点ではプレビュー版)やTechnoComの「LocationSmart」などがある。

Logging as a Service

 さまざまなIT製品/サービスのログを収集し、アプリケーションやインフラの状態、アクセスログの管理・監視をするためのクラウドサービス。AWSの「Amazon CloudWatch」やMicrosoftの「Azure Monitor」、Googleの「Cloud Logging」などがある。

MaaS

Mobility as a Service

 タクシーの配車やカーシェアリングなどの交通サービスをモバイルアプリケーションやWebサービスを通して提供するビジネスモデル。

MBaaS

Mobile Backend as a Service

 Backend as a Serviceと同義。「mBaaS」との表記もある。

MLaaS

Machine Learning as a Service

 機械学習モデルの構築やトレーニング、アプリケーションへの配備を支援するクラウドサービス。AWSの「Amazon SageMaker」やIBMの「IBM Watson Studio」などがある。

NaaS

Network as a Service

 ネットワークのクラウドサービス。ルーターやスイッチといったネットワーク機器の機能をサービスとして利用し、LANと同様のネットワークを構築できる。Megaportの「Megaport Cloud Router」が代表例だ。

OaaS

Operations as a Service

 インフラの構築や運用管理、保守のアウトソーシングサービス。

PaaS

Payment as a Service

 電子ウォレットやオンライン決済のクラウドサービス。企業の経理業務に利用するためのWebサービスを指すこともある。代表例にPayPalの同名サービスがある。

Platform as a Service

 ミドルウェアやOS、アプリケーション開発ツールのクラウドサービス。Salesforceの「Salesforce Platform」が代表例だ。

QaaS

Quality as a Service

 ソフトウェアやサービスの品質をテストして評価するためのクラウドサービスやアウトソーシングサービス。Wiproやクアーズなどが手掛ける。

RaaS

Recovery as a Service

 Disaster Recovery as a Serviceと同義。

SaaS

Security as a Service

 セキュリティ対策ツールのクラウドサービス。各種ファイアウォールやマルウェア対策、メールフィルタリングなどの機能をサービスとして利用できる。主要ベンダーにMcAfeeやトレンドマイクロ、Broadcom(旧Symantec)がある。

Software as a Service

 アプリケーションのクラウドサービス。複数のユーザー企業がインフラやソフトウェアを共用する「マルチテナント」のアーキテクチャを採用する。Salesforce(salesforce.com)やSAP、Oracleなどさまざまなアプリケーションベンダーが提供している。

TaaS

Testing as a Service

 アプリケーションにかかる処理負荷やアプリケーションの機能に関するテストを自動化するクラウドサービス。IBMの「IBM Engineering Test Management」やOracleの「Oracle Testing as a Service」などがある。

UaaS

Understanding as a Service

 自然言語処理技術などの人工知能(AI)技術を用いて、データを基に人の思考や行動について理解するためのクラウドサービス。仮想アシスタントのクラウドサービスが該当する。

Update as a Service

 ソフトウェアやインフラの更新をベンダーが実施する、クラウドサービスの更新モデル。これによりユーザー企業は更新作業をする必要がなくなり、常に最新の状態のサービスを利用できる。

UCaaS

Unified Communications as a Service

 電話機能やWeb会議機能、メッセージ機能などを搭載するユニファイドコミュニケーションのクラウドサービス。Cisco Systemsの「Cisco Webex」やMicrosoftの「Microsoft Teams」などがこれに当たる。

VaaS

Video as a Service

 映像と音声を配信するためのクラウドサービス。実質的にWeb会議サービスと同義。遠隔会議やオンラインイベントの開催に役立つ。Zoom Video Communicationsの「Zoom」やGoogleの「Google Meet」などが該当する。

Visibility as a Service

 ネットワークを流れるパケットを分析したり、アクセスログを可視化したりするクラウドサービス。アプリケーションの中断や応答の遅延、サイバー攻撃の被害を防ぐために役立つ。Keysight Technologiesの「CloudLens」やNetScout Systemsの「nGenius Visibility as a Service」などがある。

WaaS

Windows as a Service

 「Windows 10」の提供開始に当たりMicrosoftが提唱した、「Windows」の更新プロセス。Update as a Serviceの一種。数年ごとに新しいバージョンのWindowsを提供するのではなく、既存のWindowsの機能追加や脆弱性の修正を定期的に実施する。

Workspace as a Service

 Desktop as a Serviceと同義だという解釈もあるが、通常はクラウドインフラから配信するデスクトップとデスクトップアプリケーション(主にWindowsアプリケーション)の組み合わせを指す。デバイスを問わずにインターネットを介して同じ業務アプリケーションを利用できるようにする。

XaaS

X as a Service

 Everything as a Serviceと同義。

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