RHEL互換の安定志向OS「AlmaLinux」はCentOSユーザーの福音となるかCentOS Streamでは不安な人へ

CentOSプロジェクトの方針変更は多くのCentOSユーザーを驚かせた。コミュニティーベースのRHELフォークをうたうAlmaLinuxは、CentOSからの移行に最適かもしれない。

2021年03月01日 08時00分 公開
[Adrian BridgwaterComputer Weekly]

 CloudLinuxが開発している「CloudLinux OS」は共有ホスティングプロバイダー向けの「Linux」ディストリビューションだ。CloudLinux OSは「CentOS」を基盤とし、「OpenVZ」ベースのカーネルと「RPM」パッケージマネジャーを採用している。

 同社はさらに「Project Lenix」(訳注)を開始した。Project Lenixはコミュニティー主導で「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)互換のフォーク(派生版)を開発するオープンソースプロジェクトだ。

訳注:2021年1月12日に、このプロジェクトで開発する新ディストリビューションの名称を「AlmaLinux」とすることが発表された。

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 この動きはCentOSプロジェクトの方針変更が原因になっている。CentOSチームによると、今後のCentOSプロジェクトは「CentOS Stream」になり、今後1年間でCentOS(RHELのリビルド版)からCentOS Stream(訳注)に重心を移していくという。「CentOS 8」(RHEL 8のリビルド版)のサポートは2021年末で終了予定だ。

訳注:CentOSは安定版であるRHELを基にした安定志向のOS。対してCentOS StreamはRHELに取り込まれる前のコードを含むため、RHELの開発版である「Fedora」よりは安定しているがRHELよりは開発版寄りのOSとなる。そのため本番環境で運用しているCentOSユーザーを動揺させた。

1対1のバイナリ互換があるフォーク

 CloudLinuxはProject Lenixに出資し、RHEL 8(およびその将来リリース)とバイナリレベルで1対1の互換性がある無償かつオープンソースのコミュニティー主導型フォークを作成する予定だと説明する。

 これにより、既存のCentOSサーバを「ダウンタイムを一切生じさせず」に変換する方法が提供される。何かを再インストールすることもリブートすることもなく、単一のコマンドで「サーバ群全体」を変換できる。

 CloudLinuxの創設者兼CEOのイゴール・セレツスキー氏は、同氏が率いるチームはProject Lenixに必要な専用リソースを投じ、公平で非営利のコミュニティーイニシアチブにすることを約束すると話す。

 2000人のLinux愛好家を抱えるCloudLinux Webサイトで実施された調査によると、62%のCentOSユーザーは「Ubuntu」「Debian GNU/Linux」「openSUSE」、あるいは有償のOSに移行せずに別のRHELフォークがリリースされるのを待つ予定だという。

 CloudLinuxのブログによると、最初のソフトウェアリリースは2021年第1四半期の予定とされている。

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