SAPが同社プラットフォーム用開発環境の拡充を発表した。ローコード/ノーコード開発もサポートし、開発の効率が向上するという。
SAPはデータベース企業であり、ERP企業であり、データ分析企業であり、ユーザーエクスペリエンス企業であり、金融ソフトウェアツール企業であり、クラウド企業でもある。
そして何よりも、SAPはプラットフォーム企業だ。SAPは、システム分析とプログラム開発に関する専門知識をローコード/ノーコードへと広げ、新たな効率性を活用しようとしている。
Appian、Mendix、OutSystems、Zoho、Pegasystems、Betty Blocksなどの企業がこのトレンドをある程度確立した。その結果、複数のベンダーが何らかの形式でローコード/ノーコードツールの提供を推し進めている。SAPはこの市場で何ができるのだろうか。
SAPが(2020年12月に)提示したのが、ローコード/ノーコードツール、「SAP Cloud Platform」の無料枠モデル、無償の学習機会、そして「SAP Business Technology Platform」のアップデートだ。
SAPが発表した「SAP Cloud Platform Extension Suite」を使うと、マウスクリックやコードでビジネスアプリケーション、プロセス、イノベーションを構築および拡張できるという。
このスイートはさまざまなスキルレベルや自動化シナリオに対応するため、以下に挙げる3つの相互補完的で統合化されたプロセス自動化ツールを提供する。
プロセスの可視化とローコード開発によるワークフロー構成および自動化を実現する。定義済みのコンテンツパッケージ、SAPおよびQualtricsのエクスペリエンス管理ソリューションとの統合が含まれ、運用データとエクスペリエンスデータを組み合わせられる。
コーディングスキルがない事業部門のユーザーでも、部門のプロセスを作成できる。SAPによると、作成時間は「数時間」だという。SAPの顧客企業とパートナー企業約50社がSAP Ruumのβプログラムに参加している。
構築済みのbotテンプレートを提供する。だが、このテンプレートは(明らかに)SAP環境でしか機能しない。「S/4HANA」と12の業務分野でのエクスペリエンスの効率を高めるよう設計されている。
SAPのCTO(最高技術責任者)で取締役会のメンバーでもあるユルゲン・ミュラー氏によると、SAP Business Technology Platformはスケーラビリティを重視する統合拡張機能を目指している。非開発者用のツールも提供するが、開発者コミュニティーへのコミットメントも重視しているという。
「SAP One Domain Model」は、ビジネスオブジェクト(訳注:「SAP BusinessObjects」のことではない)向けの共通データモデルだ。現在は人材募集から退職までのエンド・ツー・エンドのビジネスプロセスをサポートしている、他のエンド・ツー・エンドのビジネスプロセス向けビジネスオブジェクトもサポートする予定だ。
開発者は、「SAP Graph」(訳注:SAPが提供しているAPI)のβ版または「SAP API Business Hub」(訳注:SAPのAPIの総合カタログ)を通じてこれらのビジネスオブジェクトにアクセスできる。
最後に、SAP API Business Hubのユーザーエクスペリエンスが見直されている。これにより、アーキテクトや専門家はAPI、イベント、統合パック、ユーザードキュメントなどの関連統合コンテンツの特定が容易になる。
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