コールセンターにおける「文字起こし機能」の価値【後編】
コールセンター関連会社が「高精度文字起こし」で実現した「ロボコール」撃退術
深層学習などのAI(人工知能)技術を活用し、コールセンター向けクラウドサービスの自動文字起こし機能を改善したSharpen Technologies。ユーザー企業は文字起こし機能をどう使っているか。
コールセンター向けクラウドサービスを提供するSharpen Technologiesは、自社サービスの通話音声の自動文字起こし機能を改善するため、音声認識システムをDeepgramのシステムに移行させた。システム移行の経緯と技術選定のプロセスについて紹介した前編「コールセンター関連会社がコスト半額で『文字起こし精度』を高められた理由」に続き、後編となる本稿は、ユーザー企業がSharpen Technologiesの新しい自動文字起こし機能を実際にどう活用しているかに焦点を当てる。
Sharpen Technologiesで製品担当のバイスプレジデントを務めるアダム・セトル氏によると、同社はDeepgramの音声認識システムを使って汎用(はんよう)的な自動文字起こし用の深層学習モデル(通称「Sharpenモデル」)を構築し、ある1社を除く全てのユーザー企業に提供した。Sharpenモデルの構築には1週間もかからなかったという。日常的な会話に加え、専門用語も認識できるのが特徴だ。
ある1社とは、Sharpen Technologies最大のユーザー企業であり、以前の自動文字起こし機能について苦情を寄せた企業(以下、A社)のことだ。Sharpen TechnologiesはA社向けに深層学習モデルをカスタマイズし、A社のニーズに最適化した形で提供している。
コールセンターが問題視している「ロボコール」の見分けにも活用
A社がコールセンターでやりとりする通話には、さまざまな専門用語が使われているため、カスタマイズした深層学習モデルが必要だった。カスタマイズ深層学習モデル移行後は、A社から「一切苦情を受けていない」とセトル氏は話す。A社は現在も新しい自動文字起こし機能を頻繁に活用し、毎月数百時間に及ぶ音声通話の文字起こしをしている。
セトル氏は、Sharpen Technologiesのほぼ全てのユーザー企業が自動文字起こし機能を実際に利用していると説明する。「無料なら使おう」と気軽に利用するユーザー企業がほとんどだ。中には「ロボコール」(注)を見分けるために活用するユーザー企業もある。こうしたユーザー企業は、自動文字起こし機能を使ってロボコールによく使われている単語や言い回しを抽出して、スタッフ研修に活用している。
※注:ロボットによる自動音声電話。詐欺や勧誘など悪質なものが目立つようになってきたことで欧米では社会問題となっている。
Sharpen Technologiesはこれまで「Deepgramに何か問題を感じたことは一度もなく、初期設定以外に技術サポートをDeepgramにお願いしたこともない」とセトル氏は言う。Deepgramのシステムは頻繁に目をかけていなくても稼働するので、従業員が他の仕事に専念できるようになっているという。「ほぼシステムに任せる形で運用管理の負荷を減らせる。非常にありがたい」と同氏は話す。
今後は多言語対応も、世界各国でユーザー企業の獲得を目指す
Deepgramの音声認識システムは現在、約10言語の認識が可能で、リアルタイムの自動文字起こし機能もある。Sharpen Technologiesは今後、多言語対応とリアルタイム文字起こしの機能も同社システムに組み込む計画だ。セトル氏によると、Sharpen Technologiesは多言語対応によって英語圏以外の国々にもユーザーを拡大し、成長を加速させることに期待を寄せている。
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