シンガポール国立大学が脳をヒントにした分子メモリスタを発表した。この技術を応用したメモリデバイスは消費電力が少なく、瞬時に回路を再構成してさまざまな計算タスクをこなすという。
シンガポール国立大学(NUS)の研究者チームが、斬新な分子メモリスタを開発した。さまざまな計算タスクに合わせて構成できるこの分子メモリスタは、次世代チップへの道を開く。
電子機器の多くは、事前に定義した論理機能を実行するように配線されたスイッチベースの半導体論理回路に依存する。
人間の脳の柔軟性と適応力にヒントを得た分子メモリスタは、印加電圧の変化によって再構成できる。こう語るのはこのアイデアを思い付いたスリートシュ・ゴスワミ氏(NUS物理学部研究員)だ。
「神経が記憶を保存するように、情報を保持することも可能だ」
この研究を率いるNUS物理学部准教授のアリアンド氏によると、分子メモリスタは低消費電力コンピューティングの重要な突破口であり、論理回路の設計方法を根本的に考え直すことになったという。
Indian Association for the Cultivation of Science、HPE、アイルランドのリムリック大学、米オクラホマ大学、米テキサスA&M大学と共同で行われたこの研究は、2021年9月1日発行の英Nature誌で発表された。
NUSは、脳の仕組みにヒントを得たこの技術を次のように説明している。分子メモリスタの構成可能性は、リガンドという有機分子に結合する中央金属原子を持つフェニルアゾピリジンの化学族に属する分子系によって実現した。
「これらの分子は電子スポンジのようなものだ。6つの電子伝達を提供でき、結果として5つの異なる分子状態を持つ。この5つの状態の相互接続性が再構成の可能性を支える鍵になる」(ゴスワミ氏)
研究チームは、この分子メモリスタを使ってさまざまな計算タスク用のプログラムを実行した。概念実証として、この技術によって複雑な計算を単一ステップで実行でき、次の瞬間には別のタスクを実行するように再プログラムできることを実証した。
各分子メモリデバイスは数千個のトランジスタと同じ計算を実行できる。そのため、この技術は強力かつエネルギー効率の高いメモリオプションになる。
「この技術は、携帯電話やセンサーのようなハンドヘルド機器や電力が制限される用途でまず利用される可能性がある」(アリアンド氏)
チームは、このイノベーションを組み込む新しい電子機器を構築して既存技術に関連するシミュレーションとベンチマークを行っている。
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