アプリケーションやWebサービスにビデオ通話の機能を連携可能な「プログラマブルビデオ」がCPaaS市場のトレンドとなりつつある。そもそもプログラマブルビデオとは何なのか。その代表的な用途とは。
クラウドサービス形式のコミュニケーションツールCPaaS(Communications Platform as a Service)の市場が、2020年ごろからで急激に拡大している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を受け、対面コミュニケーションの代わりに動画を使ったコミュニケーションの必要性が強く認識されるようになったことが理由の一つだ。
こうしたトレンドの中で「プログラマブルビデオ」という新しいトレンドが生まれている。プログラマブルビデオとは何か。業種や分野ごとにどのように使われているかを紹介する。
動画の作成と配布は新しいトレンドではない。遠隔会議、動画を使ったソーシャルネットワークマーケティング、デジタルサイネージを通じて、動画というメディアは以前から企業に浸透している。
これに対してプログラマブルビデオは、動画そのものではない。ライブ配信の映像や録画映像を、重要なビジネスで使う既存のアプリケーションと連携させる方法、またはフレームワーク(特定の設計思想に基づくプログラム部品やドキュメントの集合体)と考えるべきものだ。プログラマブルビデオは一般的にAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)で実現する。
プログラマブルビデオは、これまでビデオ通話の機能がなかったアプリケーションの可能性を大きく広げる。例えば銀行や保険会社、医療機関が、自社のWebサイトやアプリケーションにビデオ通話とチャットの機能を連携させ、顧客が画面越しに担当者と顔を合わせてやりとりできるようにし始めている。
これらの業種がプログラマブルビデオの市場を開拓している主な理由は、顧客とのやりとりに機密情報が含まれることが頻繁にあるからだ。資産運用や健康関連のニーズについては、遠隔でも顔が見える相手との方が、顧客は安心して話しやすい場合がある。
カスタマーサポートセンターでも、プログラマブルビデオの導入が進んでいる。リアルタイムの映像を介したサポートは、顧客にとってのメリットがある。ビデオ通話の方が説明をより直感的に理解できるからだ。カスタマーサポートを担当する技術者にとっても、リアルタイムで製品の問題が見えることは、問題解決のスピードアップに役立つ。
拡張現実(AR)技術や複合現実(MR)技術も、プログラマブルビデオの用途として人気を博している。MicrosoftのMRヘッドマウントディスプレイ「HoloLens 2」のようなウェアラブルデバイスによって、フィールドサポートエンジニアは遠隔地にいる専門家と映像を介したコミュニケーションを取りながら、スマートビルディング関連の装置や製造機器といった複雑な技術のメンテナンスとトラブルシューティングができる。これは物理世界とデジタルコミュニケーションの巧みな融合によって、時間を節約できる選択肢だ。
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