企業が「クラウド」導入に成功できない4つの理由失敗を防ぎ最大限の成果を得るには

クラウドサービスを導入する際には、十分な体制を整えておくことが必要だ。企業が導入プロジェクトを遂行する上で見落としがちな4つの注意点を説明する。

2021年11月23日 08時15分 公開
[Stephen J. BigelowTechTarget]

 企業がクラウドサービスを導入したり、クラウドインフラでアプリケーションやシステムを開発したりする過程で、問題やミスが起こり、クラウドサービス導入プロジェクトの頓挫(とんざ)につながることがある。クラウドサービスの導入で最大限の成果を得るためには、以下に示す4つの見落としに注意するとよい。

1.チームとスキルが適切ではない

会員登録(無料)が必要です

 比較的単純なプロジェクトであれば、クラウドインフラに詳しい担当者が数人いればよい。ただしプロジェクトの成功には、チームのメンバーの組み合わせを考慮しなければならない。例えばJavaを使ったアプリケーション開発が必要なプロジェクトでは、PHPを専門とする開発者は力を発揮できない可能性がある。開発チームは仕事に適した開発ツールを導入したり、重要な役割を担う人材を追加採用して継続的に教育したりすることで成果を得ることができる。

2.必要な計画がない

 クラウドベンダーは成長し続けており、クラウドサービスの提供形態やサービス内容は常に変化している。ユーザー企業が必要だと考えるクラウドサービスをベンダーが打ち切る可能性もある。

 IT部門はクラウドサービスを優先的に検討する「クラウドファースト」や、クラウドサービスしか使わない「クラウドオンリー」の考え方に基づいて、クラウドインフラを運用することがある。クラウドサービスへの移行後に元のインフラにアプリケーションを戻したり、他のベンダーのクラウドサービスに乗り換えたりすることもある。堅実なIT部門はクラウドサービスのリスクを認識し、その対策をチームやプロジェクトの運用に組み込んでいる。

3.必要な業務プロセスが欠如している

 プロジェクトの成功には、業務プロセスの進め方が重要な役割を果たす。クラウドサービスを利用する場合、セキュリティや個人情報に関連する各種データの適切な管理と保護を実践し、法令を順守しているかどうかに注意しなければならない。これらを実践するには、クラウドサービス開発時の設計・運用に最も効率の良いベストプラクティスを策定し、指針とする必要がある。ベストプラクティスは、最初のアーキテクチャ設計からプロジェクト後の監視や分析に至るまで、全ての指針となる。このような業務プロセスの重要性を見過ごしているチームは、プロジェクトの遅延や危機を招く恐れのあるミスや見落としをする危険と隣り合わせになる。

4.コミュニケーションが不足している

 技術的な取り組みには、チームのメンバー間のコミュニケーションと協力が欠かせない。クラウド技術やクラウドサービスの進化の動向を注視し、自由に共有できる状態にしておくのがよい。

 リーダーやプロジェクトマネジャーは、アイデアの実現や技術革新を妨げないように、メンバー同士の関係性を良好に保たなければならない。コミュニケーションが不足すると、ミスや見落とし、二度手間など時間や人材の浪費につながる可能性がある。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 株式会社MONO-X

IBM i の資産を生かし、着実に DX へとつなげるモダナイゼーションの進め方

IBM i 基幹システムを運用する企業でモダナイゼーションが喫緊の課題となる中、推進の課題も多い。そこで、「クラウド」「ノーコード開発」「API」「AI」を主軸とするIBM i ユーザー向けモダナイゼーションサービスを紹介する。

製品資料 富士通株式会社

小売業のDXを加速する次世代のプラットフォームとは

小売業界にとって、顧客体験(CX)、従業員体験(EX)の向上ならびにDX推進は重要度の高い課題である。多拠点、多店舗、他業態を展開する小売業でCXとEXをグローバルに向上する次世代のリテールコマースプラットフォームとは。

事例 株式会社BeeX

わずか4カ月でデータ分析基盤の内製化に成功、ロッテに学ぶDX推進の秘訣

ロッテはシステムのAWS移行を進める中、DX推進の鍵は内製化比率の向上にあると考え、内製化の強化に踏み切った。本資料では、内製化の実現に向け、支援を受けながら、初めて取り組んだAWS開発と人材育成を成功させた事例を紹介する。

製品資料 株式会社AIT

国際間の映像データ配信や拠点間での動画共有も高速で、ファイル転送の注目手法

大容量データの送受信には、通信遅延や帯域制限の課題がある。本資料では、高速で安全なデータ送信を実現できるファイル転送プラットフォームを紹介する。導入時に気になるポイントとともに、料金プランも分かりやすく解説している。

製品資料 発注ナビ株式会社

リードが商談化できない? SaaS導入のベンダー側と企業側の悩みを一掃する方法

SaaSの利用が拡大する中、ベンダー側と企業側の両方がさまざまな課題を抱えている。ベンダー側は商談につながるリードが獲得しにくいと感じており、企業側は製品の選定に困難さを感じているという。双方の課題を一掃する方法とは?

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...