適切な移行計画を立てずにアプリケーションをハイブリッドクラウドに移行させると、コストの増大など想定外の事態を招くリスクがある。ハイブリッドクラウドの移行計画を成功させるためのポイントを説明する。
オンプレミスインフラからハイブリッドクラウド(オンプレミスインフラとクラウドサービスのインフラの組み合わせ)に移行するときは、適切な移行計画を立てる必要がある。前編「ハイブリッドクラウド移行で最初に検討すべきこと 『そもそも移行できるのか』」に引き続き、ハイブリッドクラウドへの移行戦略を立てる際のポイントを3つ説明する。
ハイブリッドクラウドに移行する際は、ストレージ容量も重要な検討事項になる。クラウドストレージの利用料金はデータ量の増加と同時にゆっくりと増えていくので、注意していないと気付かないことがある。
企業がアプリケーションの一部をクラウドサービスに移行させると、オンプレミスインフラとクラウドサービスのインフラの間でデータのやりとりが発生し、アプリケーションの応答に遅延が生じる可能性がある。このような遅延は、カスタマーエクスペリエンス(CX:顧客経験価値)に影響することがある。
ネットワークは、ハイブリッドクラウドでアプリケーションを正常に動作させるための“生命線”だ。複数のアプリケーションの構成要素間でネットワーク遅延が生じた場合、それを解決する必要がある。まずは、どこに遅延の原因があるかを確認する。原因はクラウドネットワークサービスではなく、自社のネットワークインフラにある可能性がある。
ハイブリッドクラウドへの移行が成功したかどうかを確認するための指標を決める。データの伝送速度やシステムの応答時間も有益ではあるが、オンプレミスインフラと比べてハイブリッドクラウドのコストが3~4倍になった場合、それらはほとんど意味がなくなる。企業の支出が多くなり過ぎると、ハイブリッドクラウドはROI(投資対効果)が小さくなり、その点から見ると失敗だと見なされる可能性がある。
さまざまな角度からデータを見ることで、ハイブリッドクラウド移行戦略を明確に把握する。ユーザーエクスペリエンス(UX:ユーザー経験価値)やヘルプデスクの稼働時間など、あらゆる点について考える。例えばハイブリッドクラウドへの移行によってコストがかさんでも、ヘルプデスクへの問い合わせが30%減った場合、全体のROIは良好になることが考えられる。
課題となるのは、異なるデータソースの比較だ。データソースの相互関係を示すのは難しい場合がある。こうした指標は、ハイブリッドクラウド戦略の進み具合や、アプリケーションの構成要素の適切なインフラを判断する上で重要だ。自社の事業内容やクラウドサービスの利用目的に合わせて、指標を調整しよう。
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