EDSFFが次世代フォームファクターの最有力候補になりつつある。どのような形状で、PCやストレージ製品にどのように実装されるのか。EDSFFの全体像を解説する。
EDSFF(Enterprise and Data Center SSD Form Factor)はNVMe SSD用フォームファクターであり、現時点では15のメーカーが開発を行っている。本稿ではEDSFFの概要、仕様の基礎、バリエーション、ドライブメーカー、EDSFFを利用できるストレージアレイ製品を紹介する。
EDSFF以前のNVMe SSDのフォームファクターはU.2とM.2だ。U.2はHDD時代までさかのぼる2.5インチ筐体の「従来型」で、NVMeだけでなくSCSIベースのSASやSATAでも利用できる。
M.2にはさまざまなフォームファクターがある。基本的にはノートPCなどに内蔵することを目的とした、最大物理フットプリント22×110ミリの「板ガム」状の形状だ。
対してEDSFFには多くのフォームファクターがある。注目度の高い形の一つが「Ruler」(定規)スタイルのE1.L(Lは「Long」の略)だ。「Rruler」という名前は、長さ325ミリ、幅38.6ミリのスチール定規の形状に似ていることに由来する。
E1.Lは1Uアレイのスロットに12.5ミリ間隔で最大32個挿入できる。E1.Lには36のメディアチップを収容できるため、1Uで1PBの容量を実現するという。ホットプラグ可能でフロントアクセスサービスができる設計になっている。
もう一つ注目されているのがE1.S(Sは「Short」の略)で、長さは110ミリ強だ。M.2ドライブとほぼ同じ長さなので、ハイパースケールデータセンターで使われているM.2フォームファクターの後継になるとみられている。メディアを横方向に並べて配置できるため、筐体の幅に合わせてさまざまな容量にできる。冷却機能も備えている。
最後がEDSFF E3ファミリーだ。長短のバリエーションがあり、U.2フォームファクターの後継となる。
EDSFFドライブはIntel、キオクシア、Samsung Electronicsが提供している。インタフェースはPCIe 4.0およびPCIe 5.0で、TLCとQLCのSSDを搭載する。
IntelのE1.L製品はQLCフラッシュを採用し、1ドライブ当たりの最大容量は30.72TB。Intelによると、熱効率がU.2ドライブよりも2~3倍優れているという。
キオクシアはさまざまな仕様のE1.SドライブとE3ドライブに主眼を置いているようだ。本稿執筆時点では、キオクシアもSamsungもE1.LについてはIntelに任せているように思える。
Super Micro Computer(Supermicro)は、E1.Lベースの1Uストレージサーバ「Petascale E1.L」とE1.Sベースの「SuperStorage」を用意している。
Dell EMCは「PowerEdge XE2420エッジサーバー」でEDSFFを利用可能にしている。IBMは「Power System」で他のNVMeフォーマットと合わせてEDSFFドライブを使っているという。
大手6社はEDSFFの採用を明らかにしていない。だがこの状況は間違いなく変わっていくだろう。
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