B2B(企業間取引)マーケティングは、今後どう動くのか。Forrester Researchのアナリストに、マーケターの雇用市場におけるトレンドを聞いた。
調査会社Forrester Researchのアナリスト、ロリー・ウィズド氏らは2022年におけるB2B(企業間取引)マーケティングの動向予測を発表した。そのうちの一つが、マーケティングパーソナライゼーションへの投資が期待外れに終わるというものだ。前編「B2Bマーケティングで『パーソナライズ』がいまひとつ役に立っていない理由」はそのことについて、ウィズド氏に話を聞いた。後編はその続きに加え、大退職時代(Great Resignation)が、複数の企業で働く独立した非常勤のマーケティング担当者を生み出すという予測について聞いた。
―― うまい具合にデータを手に入れたとして、これを生かすまでのタスクを企業がこなせるのか疑問です。B2B(企業間取引)の複雑化を技術で解決できるのでしょうか。
ウィズド氏 技術で何かを解決する前に、必要となる一定の戦略的な考えがある。どの買い手、どの購入グループ、どのような購入動機に向けて戦略を設計していくか、本当の意味で理解する必要がある。マーケティングにはコンテンツやエンゲージメント戦略の構築が必要だ。考え得る限りの全ての購入シナリオに対して、それができるわけではない。マーケターには預かった予算の管理責任がある。それを踏まえた上で戦略を設計して、運用できるようにしなければならない。
―― B2B企業でもB2C(企業・一般消費者間取引)企業同様にパーソナライズが機能するような状況へ至れるのでしょうか。
ウィズド氏 B2Cなら、どの企業でもパーソナライズをうまくやっているかといえば、そうではない。私自身、消費者の立場では「冗談だろう」と思えるようなものを数多く薦められている。パーフェクトには程遠い。
デジタル化した顧客接点が生み出すデータは、ますます増加している。B2Bマーケターとしてアクセスするサードパーティーのデータは10年前、あるいは5年前に手にしていたものより、はるかに優れている。データを管理するシステムもそうだ。CDP(顧客データプラットフォーム)市場は活性化している。B2Bマーケターは、これまでデータがきちんと管理されていなかった事実に気付きつつある。われわれは完璧なパーソナライズができるとまでは言わないが、データマネジメントやアナリティクスの改善によって精度を高めることはできる。
―― あなたのチームが非常勤のマーケティング専門家の雇用を強く支持する理由を聞かせてください。
ウィズド氏 企業が次の厳しい局面を切り抜けるために、非常勤のCMO(最高マーケティング責任者)やCFO(最高財務責任者)、CIO(最高情報責任者)を受け入れるアイデアは、市場で実際に成功を収めている。われわれはずっとマーケティングにおいてフリーランサーを雇用してきた。
われわれのクライアントは、大量退職時代にあって人を維持するのがどんどん難しくなる状況に直面している。従業員は会社のために何かを諦めることをますます良しとしなくなっている。
例えばある企業はここ数年間、インターナルエージェンシー(社内代理店)を立ち上げるために活動していた。コミュニケーションとクリエイティビティーが自分たちのコアコンピタンスであると考えた人々が、それを発揮する場を社内に構築したのだ。ところが業務が突然リモートでこなせるようになったことで、彼らは仕事の半分以上を他の代理店業者のために提供できるようになった。
需要が高まり、人々は自らの道を着実に進む機会を増やし、これまでよりもリスクをいとわなくなっている。これは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)による変化が導いた結果であり、あらゆる業界が経験したことだ。よりよく物事を成し遂げるために生かせる才能がさらに増えることは素晴らしい。ただし、そうした才能をよりよく管理する方法を学ぶ必要があるとも言える。
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