“売れない製品”を生む判断ミスの元凶「人材」リスクとは?4要素で分類 事業存続を左右するビジネスリスク 【前編】

リスクマネジメントをする際にビジネスの基盤となる4つの要素に焦点を当てると、項目の洗い出しや関係性の把握をスムーズにし、影響を軽減する可能性がある。各要素に該当するリスクとは何なのか。

2022年06月02日 05時00分 公開
[Paul KirvanTechTarget]

関連キーワード

リスクマネジメント


 ビジネスを脅かすリスクを特定して評価する際、以下のようにさまざまな分類がある。

  • 事業リスク
  • オペレーショナルリスク
  • 財務リスク
  • レピュテーションリスク
  • 競合リスク
  • 経済リスク
  • コンプライアンスリスク

 エンタープライズリスク管理(ERM)の一環としてリスクを管理し、軽減しようとする場合、まず企業は事業運営の基盤となる以下4つの要素に焦点を当てて分類することが望ましい。

  1. 人材
  2. プロセス
  3. 技術(後編で紹介)
  4. 設備(後編で紹介)

 企業は個別のリスクが4つの要素の何に当てはまるかを考えた上で、他のリスクにつながる可能性があるかどうかを検討するとよい。本連載はこれらの要素に焦点を当て、企業を取り巻くリスクを考える。

1.「人材」のリスク

 人材は、ビジネスにプラスの影響もマイナスの影響も与え得る要素だ。事実、あらゆるリスクを生み出す可能性がある。例えば市場リスクは、新製品の開発や発売に向けた取り組みで、人の誤った決断から生じる可能性がある。結果として、

  • 市場に適していない
  • 発売が早過ぎる/遅過ぎる
  • 価格が高過ぎる
  • 設計が粗い
  • 宣伝通りの性能を発揮しない

といった事態を招き、売れない製品を生み出してしまうことになる。競合リスクは、他社の人材がより良い決断を下し、市場で勝利することで高まる可能性がある。

 コンプライアンスリスクは、社内の人材が偶然にしろ、意図的にしろ、特定の規定や基準に従わない時に発生する。これは、訴訟や罰金などの法的リスクや、悪評の発生をはじめとするレピュテーションリスクへとつながる恐れがある。

 十分な人材がいないと、企業は機能しにくくなり、存続すら難しくなる可能性がある。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)は、人材不足が企業にもたらし得るビジネスリスクを浮き彫りにした。テレワークは、パンデミックの中で従業員を失うリスクに対処するための主要な戦略として広まった。

2.「プロセス」のリスク

 製造ラインやサプライチェーン、デジタルワークフローなどの重要なビジネスプロセスが適切に遂行できなくなることは、戦略的なリスクになる。特にプロセスの機能不全が戦略的計画に影響を及ぼした場合、事業の下流に幾つものビジネスリスクを生み出す可能性がある。例えばアクシデントが起きて製造能力が低下したり、サプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性によって予定より配送が遅れたり といった具合だ。パンデミックが起きた際も、業務を遂行するのに必要な人材や技術がそろわず、深刻な業績低迷や経営破綻に直面した企業があった。


 後編は、残る「技術」「設備」のリスクを考察する。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

製品資料 ServiceNow Japan合同会社

7つのユースケースで探る、リスク/コンプライアンス管理の課題と解決策

企業がビジネス規模を拡大し、サプライチェーンやビジネスパートナーとの協業が進んだことで従来型のリスク/コンプライアンス管理の限界が露呈しつつある。リスク管理を次のステップに進めるためには、これまでと異なる仕組みが必要だ。

事例 ServiceNow Japan合同会社

1年で顧客離脱率が20%低下、Lenovoは自社サービスの価値をどう高めたのか?

Lenovoでは、顧客デバイスのライフサイクル管理を支援するDevice as a Serviceを世界中に提供している。しかし、そのオペレーションは複雑であり、顧客エクスペリエンスを高めるために改善が必要だった。同社が採った改善策とは。

製品資料 LRM株式会社

“惰性”から脱却して効果を上げる、年間を通じたセキュリティ教育計画の立て方

セキュリティリスクが増大している今日において、社内のセキュリティ教育は必須のタスクとなっている。しかし、セキュリティ教育それ自体が目的化してしまい、確実な効果を上げられていないケースも多い。

製品資料 LRM株式会社

進化するサイバー攻撃に対応、セキュリティ教育を見直すための3つのポイント

日々進化するサイバー攻撃から自社を守るためにも、時代の変化やトレンドに応じてセキュリティ教育を見直すことが必要だ。その実践ポイントを「目的の再確認」「教育の実施状況の分析」「理解度・定着度の測定」の3つの視点で解説する。

製品資料 株式会社ブレインパッド

DX推進を見据えた「データ活用人材」を社内で育てるための効果的な方法とは?

データ活用人材を社内で育成するためには、「DX推進者」や「分析実務者」などの役割に応じたスキル定着が欠かせない。効果的な育成を行う方法として、あるデータ活用人材育成サービスを取り上げ、その特徴や事例を紹介する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。