身元調査は企業にも従業員にも一定のリスクがある。それでも採用後の身元調査を継続する企業が少なからず存在する。Honk Technologiesの取り組みを見ていこう。
課題はあるものの、公共の安全に関係する仕事では「従業員の継続的な身元調査をすべきだという声が強まっている」と、人事コンサルティング会社OperationsIncのプレジデント兼最高経営責任者(CEO)であるデイビッド・ルイス氏は言う。
授業員の身元調査を継続的に実施している企業の代表例が、Honk Technologiesだ。Honk Technologiesはスマートフォンアプリケーション「HONK」を通じて、自動車のロードサイドアシスタンスサービスを必要としている一般ドライバーと、レッカー移動業者をつなぐサービスを提供している。Honk Technologiesの顧客の大半は保険会社だ。保険会社はHonk Technologiesのサービスを、保険契約者向けのロードサイドアシスタンスサービスとして米国全土に提供している。Honk Technologiesでネットワークオペレーション担当のシニアディレクターを務めるアンドレア・ホール氏は「HONKを使えば、最寄りの業者を短時間で見つけ出せる」と話す。
Honk Technologiesは、自社のサービスネットワークに所属するロードサービス事業者のうち、業績上位者に継続的な身元調査を実施している。サービスネットワークに新たに登録するロードサービス業者のスタッフは、Checkrという身元調査会社を通じて身元調査を受ける。採用が決まった後も、スタッフはCheckrのサブスクリプションサービスを利用して、米国の「自動車運転記録」(MVR)や逮捕歴に変更があるかどうかの追跡調査を受け続けることになる。
「採用時にしか身元調査を実施しない企業は、従業員の犯罪履歴に新たな罪状が書き込まれても、決して知らされることはないのではないか」とホール氏は懸念を示す。
こうした身元調査サービスを利用していることから、Honk Technologiesはネットワークに登録したロードサービススタッフの逮捕状況をすぐに把握できる可能性がある。米国の逮捕記録は一部電子化されている(ただし地域によっては通知が数日遅れる場合がある)。容疑の深刻さによっては、Honk Technologiesがスタッフとの契約を解消することもあり得る。
ホール氏によると、告訴の取り下げや抹消、記録の削除によって、ロードサービススタッフがサービスネットワークへの復帰を許される場合がある。解約されたスタッフが「告訴は間違いだ」と確信しているならば、Checkrの調査員が状況を調べることになる。
「こうした取り組みによって顧客は安心してサービスを利用できる」とホール氏は語る。「継続的な身元調査が、消費者にとって安全な世界を迅速につくる」(同氏)
後編は、従業員の犯罪歴やソーシャルメディアの発言を継続調査することの是非について、専門家の見解を紹介する。
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