2022年06月23日 05時00分 公開
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「Tableau」や「Microsoft Power BI」と競うQlikの”狙い”は成功するのか?TechTarget発 世界のITニュース

BIツールベンダーのQlikは、今後のロードマップを公開した。BIツールの機能追加や、既存機能の強化を実施する。どのような機能が追加されるのか。最大の注目ポイントは何か。

[Eric Avidon,TechTarget]

 ビジネスインテリジェンス(BI)ツールベンダーのQlik Technologiesは、2022年5月に開催したオンラインユーザーカンファレンス「QlikWorld 2022」で、BIツールの展望を明らかにした。今後追加になる機能の詳細が分かった。

 QlikはBIツールへの機能追加を続けている。今回の発表には、クエリや機械学習、セキュリティなどの新機能が含まれる。

「Tableau」や「Microsoft Power BI」と競争するQlikの試みとは?

写真 QlikWorld 2022で説明するQlikのCEOマイク・カポネ氏(写真は筆者が撮影)

 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行やロシアのウクライナ侵攻などの世界的な経済不安により、リアルタイムのデータに対するニーズは高まっている」と、QlikのCEOマイク・カポネ氏は述べる。カポネ氏がQlikWorld 2022の基調講演で強調したのは、経済市場の不確実さが増す中でこそQlikは事業を強化する点だ。

 カポネ氏は「世界各地が相互に強く影響し合う状態は今後も続くが、可能な限り確実性を高める道はあり、その道はデータにある」と語る。特に、適切な人に適切なタイミングでデータを届けることで、現在の課題と今後の課題の両方を解決することができると同氏はみる。

 Qlikは分析機能を充実させ、「Tableau」や「Microsoft Power BI」など他のBIツールベンダーと市場シェアを競うつもりだという。同社はロードマップで以下5つの目標を掲げている。

  • トップクラスのSaaS(Software as a Service)の開発
  • データ収集から統合、分析までをシームレスにつなぐデータパイプラインの強化
  • 組織の全従業員へのインサイト(洞察)の提供
  • データの実用性向上
  • 顧客の成功につながる製品の提供

 「データパイプラインの目的は、サイロ(個々に孤立した状態)化したリアルタイムのデータをユーザーにとって見やすくし、データ補強や派生データ作成を支援することだ」と、QlikのCPO(最高製品責任者)ジェームズ・フィッシャー氏は説明する。より多くの人がインサイトを獲得し、場所を問わず活用できるようにすることが重要だとフィッシャー氏は付け加える。

Qlikが追加した新機能の詳細

 Qlikが計画するBIツール強化のポイントは以下の通り。

  • クラウドサービスへのデータ配信機能「Hybrid Data Delivery」の機能強化
  • クエリ機能「Direct Query」の導入
  • 機械学習モデル生成機能「Qlik AutoML」の導入
  • セキュリティとコンプライアンス機能の強化

 Qlikが2021年に発表したHybrid Data Deliveryは、オンプレミスのデータソースからクラウド分析サービス「Qlik Cloud」へ、リアルタイムかつ自動的にデータを複製、配信する機能だ。ユーザーはこの機能を利用して、オンプレミスのアプリケーションやデータベースからデータを取得し、クラウドサービスのリポジトリ(保管場所)に移動させることができる。

 Hybrid Data Deliveryは既に、オンプレミスのデータソースからクラウドデータウェアハウスへデータを配信する機能を備えている。利用可能なクラウドデータウェアハウスには「Azure Synapse Analytics」「Google BigQuery」「Snowflake」があり、間もなく「Databricks」も加わる。オンプレミスのデータソースについても、利用できる対象を広げる計画だという。

 Direct Queryは、BIツール「Qlik Sense」のアプリケーション作成を支援する。ユーザーは作成したアプリケーションを使うと、データ分析の際にデータウェアハウスやデータレイクからデータを抽出したりQlik Senseにインポートしたりする必要がなくなる。ユーザーが選択したデータベース側からクエリを実行できるためだ。この仕組みはまずSnowflakeで可能になる。

 Qlik AutoMLは、Qlikがノーコード(ソースコードの記述なし)の機械学習ツールベンダーBig Squidを買収した成果だ。Qlik AutoMLを使うことで、ユーザーはノーコードで機械学習モデルを生成できるようになる。

 他にも同社は、セキュリティとコンプライアンス機能として、国際的な財務報告基準や米国の医療制度など、特定分野向けの仕組みを追加。ユーザー自身が暗号鍵を作成してクラウドサービスに持ち込む手法「Bring Your Own Key」(BYOK)を実現するセキュリティ機能も追加した。ユーザーはこの機能を用いて、Qlikが提供する仕組みだけではコンプライアンス要件を満たせない場合にも、データの暗号化が可能になる。

最大の注目ポイントは?

 「最大の注目点となるのはDirect Queryだ」と、Qlikの元イノベーションデザイン担当バイスプレジデントのドナルド・ファーマー氏は述べる。ファーマー氏によると、Qlikの競合ベンダーはクラウドストレージベンダーと密接な関係を築き、クラウドデータウェアハウスやクラウドデータレイクでのクエリや分析を実現してきた。一方でQlikは、自社ツール内で動作するクエリや分析ツールを中心に構築してきた。「その結果、QlikのBIツールは、近年のデータ増大への対処に苦労することがあった」(同氏)

 Direct Queryはそのような歴史を断ち切るものだとファーマー氏は語る。この新しいクエリ機能を使えば、ユーザーはデータベースに直接接続してデータを活用できる。「この機能がQlikの新しい方向性として発展するのか、『うまく機能しなかった』とユーザーが感じるのかは興味深いところだ」と同氏は語る。

 Qlikは他にも、以下の機能追加を計画している。

  • プロセス自動化機能
  • データの目録となるデータカタログの拡張機能
  • 新しいAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)との連携
  • モバイルアプリケーションに関連する機能
  • 英語だけでなくスペイン語の自然言語生成ツールを含む拡張分析機能
  • 分析機能をアプリケーションに搭載する「組み込み型分析」

 こうして一連の取り組みを明らかにしたQlikだが、新機能の一般提供を開始する時期については明示していない。

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