テレワークの普及で、従業員の働く環境の選択肢が広がった。こうした変化は、社内向けのコミュニケーションツールにも変化を促す。何がどう変わるのか。トヨタ系金融サービス事業TFSの経営幹部に聞いた。
トヨタ自動車の米国における金融サービス事業Toyota Financial Services(以下、TFS)の最高イノベーション&デジタル責任者、ビピン・グプタ氏は、従業員が利用するコミュニケーションツールは今後「非常に急速に進化する」と確信している。グプタ氏は、最高情報責任者(CIO)やIT部門の経営幹部を対象とした年次イベント「MIT Sloan CIO Symposium」(2022年5月開催)の公開ディスカッションで、このような考えを話した。
「画面でお互いの顔を見る形式のWeb会議は、2025年ごろには“1950年代のテレビの視聴体験”のように見えてくる」とグプタ氏は予測する。同氏はコミュニケーションが「より没入的になる」と考えている。没入的な会議は、「AR」(拡張現実)技術や「VR」(仮想現実)技術の活用で実現する可能性がある。
グプタ氏が「日常業務の遂行という観点における、コミュニケーションの目標」に据えるのは、さまざまなデバイスを使い、さまざまな場所で働く従業員に向けて、シームレスな業務体験を構築することだ。これによりTFSは、顧客に提供するのと同等の一貫性のある体験を従業員に提供できるようにする。
TFSは、こうした体験を実現するための取り組みをすでに始めているという。その一例がオフィスに出社した従業員に、技術に関する支援を提供する「デジタルケアセンター」だ。デジタルケアセンターは「『Genius Bar』に似ている」とグプタ氏は話す。Genius Barは、Appleの実店舗「Apple Store」にあるヘルプデスクのことだ。
「自宅からオフィスへ移って仕事をする際の、いかなるデジタル環境の変化も、従業員体験の“摩擦点”になってほしくない」。グプタ氏はこう語る。
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