ハイブリッドワークを導入する動きが広がる中、企業の従業員に対するITサポートは難航している。この状況は、従業員の定着率低下や大量離職につながりかねない。企業はどう動くべきなのか。
従業員デジタル体験価値(DEX:Digital Employee Experience)ソフトウェアベンダー1Eは、企業における従業員デジタル体験価値に関するレポート「Digital Employee Experience (DEX) in the Enterprise: Progress, Patterns, and Gaps」を公開した。同レポートは米国と英国の従業員数5000人以上の企業に勤めるIT意思決定者とナレッジワーカー(知識労働者)の計300人を対象に調査した。
DEXは、IT製品が従業員に与える影響や、従業員が仕事でどのようにデジタル技術を利用しているかに着目した概念だ。
1Eによると、企業がデジタル技術を巡るあつれきを無くし従業員の定着率を高めるには、以下2つを実現すべきだという。
DEXは従業員の大量離職に影響する可能性がある。従業員がハイブリッドワーク(オフィスワークとテレワークを組み合わせた勤務形態)の長期的な導入に期待を寄せる傾向は強まっており、それと同時に業務で利用するITの利便性に対する要求も強まる。特にこれが当てはまるのは、デジタルネイティブの若い従業員だ。
ところが、1Eの調査では全回答者の78%が「自社はハイブリッドワークにおけるITサポートにいまだ苦慮している」と答えている。このような状況が続けば、テレワークやハイブリッドワークができる職場を求める従業員の退職につながる可能性があると1Eは警告する。
1Eはレポートで、デジタルエンパシーを活用する必要性についてアドバイスしている。「自社はデジタルエンパシー向上に優先的に取り組んできた」と答えたIT意思決定者の割合は約3分の1にすぎなかった。技術的な観点だけから問題に対処していては、もはや従業員を満足させることはできないと同社は強調する。
「職場におけるスタンダードが急速に進化する中で、ITの優先事項と期待値もそれに合わせて進化すべきだ」と1EのCEOを務めるマーク・バンフィールド氏は述べる。企業の幹部はITに対する考え方を変え、DEXの取り組みを支援するために必要な製品・サービスに投資しなければならないとバンフィールド氏は指摘する。企業はDEXに注力することで、働きやすいハイブリッドワーク環境や優れた従業員の確保、生産性低下につながるデジタル技術由来のあつれき回避を実現できるという。
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