日本も韓国も悩む「自動化で失業」よりも深刻な“あの問題”とは?自動化が変えるAPAC主要5カ国の雇用情勢【後編】

日本を含むAPAC主要5カ国では、自動化が雇用に大きな影響を及ぼすとForrester Researchは指摘する。ただし雇用を左右する要因は自動化だけではない。各国で異なる事情を整理する。

2022年09月28日 08時15分 公開
[Aaron TanTechTarget]

関連キーワード

業務改善 | 業務効率


 調査会社Forrester Researchは2022年8月、調査レポート「Future Of Jobs Forecast, 2020 To 2040(India, China, South Korea, Australia, and Japan)」を公開。APAC(アジア太平洋地域)に属する5カ国の経済大国である日本、インド、中国、韓国、オーストラリアでは、2040年までに計6300万人分の雇用が失われるとの予測を示した。主な原因としてForresterは、物理的なロボット技術による自動化による影響を挙げる。ただし詳細な事情は各国で異なるという。

自動化よりも深刻な“あの問題”も APAC主要5カ国の悩み

 雇用の減少について、各国は異なる課題に直面している。Forresterが調査レポートで取り上げた内容を整理しよう。

  • 日本
    • 少子化と労働人口の高齢化に伴い、2020年から2040年までに労働人口が19%減少する見通しだ。2020年から2050年までに労働人口はほぼ3分の1になるとみられる。
  • インド
    • 今後20年間で1億6000万人が新たに労働者になり、労働人口は2040年までに11億人に達する見通しだ。労働市場に新規参入する労働者のために雇用を創出することが、主要な優先課題となる。
  • 中国
    • 2040年までに労働人口が11%減少し、雇用の7%が自動化によって失われる見通しだ。だがIT業界の雇用増加が喪失分を上回り、2040年までに380万人分の新規雇用が生まれるとみられる。
  • 韓国
    • 日本と同様に労働人口の高齢化に直面している。2040年までに労働人口が23%減少する見通しだ。
  • オーストラリア
    • 業務を自動化して生産性を高め、人件費を削減する動きが加速している。2040年までに自動化によって雇用が11%失われる見通しだ。

 コンサルティング分野や科学分野の仕事は、自動化が難しい傾向にある。これらの分野はむしろ雇用が伸びる可能性があるとForresterはみる。

 APAC主要5カ国は、上述の通り固有の課題に直面している。一方で「『女性の雇用拡大』といった普遍的な重点分野への取り組みが、労働人口の減少を補うのに役立つ」と、Forresterでプリンシパルフォーキャストアナリストを務めるマイケル・オグレイディ氏は話す。「STEM」(科学、技術、工学、数学)教育への投資やIT人材の育成、フリーランスワーカーの権利保護も、極めて重要になるとオグレイディ氏は考えている。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news047.jpg

SASのCMOが語る マーケティング部門が社内の生成AI活用のけん引役に適している理由
データとアナリティクスの世界で半世紀近くにわたり知見を培ってきたSAS。同社のCMOに、...

news159.jpg

SALES ROBOTICSが「カスタマーサクセス支援サービス」を提供
SALES ROBOTICSは、カスタマーサクセスを実現する新サービスの提供を開始した。

news139.jpg

「Fortnite」を活用  朝日広告社がメタバース空間制作サービスとマーケティング支援を開始
朝日広告社は、人気ゲーム「Fortnite」に新たなゲームメタバース空間を公開した。また、...